元寺尾・錣山親方が語る「名古屋場所はここを見よ!」

取材・文 武田葉月(ノンフィクションライター)

 その甘いマスクと徹底した突っ張り相撲で人気を博した鉄人に、注目すべき力士から見逃せない一番まで、見どころを聞いた!

 現役時代、“速射砲”のような回転の速い突っ張りを武器に、39歳まで現役を続けた“鉄人”寺尾。引退後は錣山部屋を興し、小結・豊真将らの力士を育てる一方、審判委員として土俵下から力士たちを厳しく見つめてきた。その錣山親方が9日から始まった名古屋場所の見どころ、注目力士、優勝争いについて語ってくれた!

――この蒸し暑い時期に開催される名古屋場所。かつては平幕優勝する力士(高見山、金剛、水戸泉など)も現れたりして、波乱の展開も予想されますね? 

錣山 力士にとって、体調の管理が一番難しいのが、名古屋場所かもしれませんね。それだけに、思わぬ伏兵が優勝戦線に絡んでくるケースも多いんでしょうが、今場所に限っては、それはないような気がするんですよ。

――というのは?

錣山 白鵬(32)を筆頭にした4横綱、新大関の高安(27)らの上位陣が充実していて、関脇以下の力士たちと力の差がありすぎるからです。突出しているのは、先場所1年ぶりに優勝した白鵬です。昨年は足のケガなどで、「白鵬もここまでか?」などと言われたこともありましたが、立ち合い、左前みつを取って圧倒する相撲が戻ってきましたね。しかも全勝優勝ということで、気分を良くしています。

 そして新大関の高安。立ち合いからの突っ張りがいいよね。先場所は盤石の11勝。「ラクして勝とう」とした玉鷲戦だけは吹っ飛ばされてしまったけれど、他は、すでに大関のような相撲を取っていましたよ。真面目に稽古も積んでいるようだし、二ケタは行けるんじゃないかと見ています。

――実力のある大関の誕生ですね。大関・照ノ富士はいかがですか?

錣山 関脇で優勝して、大関に駆け上がった頃は、すぐに横綱になるんじゃないかという勢いだったけれど、ヒザのケガで低迷。それでも、春場所ではもう一歩で優勝という活躍を見せて、さらに夏場所でも12勝。かつての破壊力が戻ってきましたね。ヒザの治療もしたようだし、王者・白鵬を脅かす存在であることは間違いないと思いますよ。

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