――なるほど。さらに、関脇には御嶽海(24)、前頭筆頭には正代(25)などの期待の若手がいて、上位陣との取組が楽しみです。

錣山 そうね。若手にも注目したいけど、頑張ってほしいのがベテラン勢。そんなベテランの筆頭は先場所、技能賞を獲得した小結・嘉風(35)です。35歳という年齢ながら、相撲が守りに入っていないし、自分から積極的に突いていくところがすごいですよ。そして、前向きな姿勢ね。スピード感もあるし、力士というよりアスリートという感じ。先場所初日、稀勢の里に勝ったでしょ? それも自信になっていると思うし、名古屋場所前の連合稽古でも稀勢の里と20番以上も取って、嘉風のほうが分が良かったというんだから、危険なベテランだよね。

 そして元大関の琴奨菊(33)。関脇に落ちてしまった春場所は、9勝で(10勝すれば大関に復帰できる規定がある)大関復活はかなわなかった。また先場所は7勝。番付は小結にとどまったものの、平幕に落ちても相撲を取り続けるのか? 気力はどこまで続くのか? 今場所は今後を占う場所になると思いますよ。

――ベテランといえば、38歳の豪風も、存在感を見せていますよね?

錣山 体がパンパンに張っているもんね。コツコツ努力しているのが、体に出ていると思います。出稽古に行って、別の部屋の若手力士と、積極的に稽古するという姿勢もいい。ただ、相撲のほうは、同じ部屋の嘉風と比べると、ちょっと消極的になってきたかな?

 それと、皆さん、忘れかけているかもしれないけど、逸ノ城(24)ね。かつては“モンスター”などと言われて、200キロの体からの破壊力が抜群だった。だけど、太りすぎて動きが悪くなってしまって、前頭中位に低迷。紆余曲折の末、今は体重も落として、体を見る限り調子も良さそうです。

 だけど、逸ノ城はいつも突っ立って相撲を取っているんですよ。もう少し下から上手を取って、前に出る相撲を取れば、本当に怖い存在なんだけどな。稽古も不足してるし、ハッキリ言って宝の持ち腐れですよ。嘉風、豪風のベテランを見習ってほしいですね。

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