さらに、袋詰めされたもやしに存在する大腸菌は、瞬時に増殖する恐れもあるのだという。「袋の隙間から菌が飛び出し、“食材間感染”の可能性もあります。購入時は、もやしの袋を別の袋で二重に包んだり、違う食材を手に取る際は、違う買い物カゴを用意したりして用心したほうがいいでしょう」(前同)

 冷蔵庫でも同様の対策を施したほうがよい、といわれるほど“飛散力”があるという。「もやしを調理する際、水洗いには注意が必要です。洗い場に大量の大腸菌が飛び散り、他の食材や食器などにも付着するので、“洗わずに調理すべき”という声もあるほどです」(同)

 基準値以上に菌を持ったもやしを食べて即、食中毒になるわけではないが、お疲れで免疫力が弱っている人は忌避すべし!!

 もやしと同じく、“高温”“十分な水分”“十分な栄養”の3要素を満たす“弟分”にも注目だ。「カイワレ大根です。もやしほどではないですが、検体数の14%が“陽性”と出ており、かなりの高率です。もやしと同様の予防策を講じるべきでしょう」(同)

 他方、あの“夏野菜の王様”も注意が必要な食材だと指摘されている。「キュウリ」である。「表面のイボイボ部分は雑菌の巣窟ですよ。少々の水洗いでは菌は落ち切らず、かえって逆効果。水分を得たことで、さらに増殖する可能性もあります。夏場の冷やし中華でよく食中毒が起こる原因は、多くがキュウリです」(同)

 対策としては、イボ部分はスポンジでしごくように洗う。また、殺菌剤代わりに“塩”で、へたらない程度に揉めば良いという。

 世間では“健康の象徴”とされがちな野菜だが、衛生面では完璧とは言い難いようだ。その他、「ネギには、菌が多いとされる土が内側まで残っていがち。生で食べる場合は、特に内側をよく洗うことです。付け加えれば、有機野菜全般に言えることですが、農薬を使ってない分、菌が非常に多い。よく水洗いしましょう」(前出の食品コンサルタント)

 一方、「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件を契機に、生食がほぼ禁止され、加熱が必須条件となった“肉”も、焼き方に注意しないと非常に危険なこともある。――とりわけ、豚、鶏のミンチ肉は注意が必要だ。前出の『食品の食中毒菌汚染実態調査の結果』によれば、牛のミンチ肉の陽性は0%なのに対して豚は11%。しかも死亡ケースもある“サルモネラ菌”“腸管出血性大腸菌”の陽性が半分を占有しているのだ。

 さらに怖いのが鶏のミンチ。陽性が63%とダントツで、その内訳はすべてサルモネラ菌。同菌は鶏肉の汚染度が高く、次いで豚、牛の順に汚染がみられる。「ミンチ肉を利用したハンバーグ、それに、サイコロステーキ(成型肉)も、中心部まで菌が練り込まれている可能性があります。もっとも、しっかり中心部分まで75℃以上で1分以上焼けば、まず大丈夫です。半焼きで食するのはやめましょう」(前同)

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