「巨人のGMは、これまで初代が清武英利、次が原沢敦、そして6月の人事異動で更迭された堤辰佳と、読売新聞社会部からの出向組が独占してきました。巨人軍のフロントは、その社会部と、“読売のドン”渡邉恒雄元読売巨人軍最高顧問の出身母体である政治部が、“天下り先”として主要ポストを奪い合ってきたんですよ」(読売グループ関係者)

 今回、鹿取義隆氏という巨人OBながら、“読売外部”の人材をGMに抜擢したのは、「そんなことをしている場合ではない」という現場の危機感、特に巨人の興行を取り仕切る読売新聞事業局からの強い要望だったという(現在の巨人軍の久保博会長と石井一夫社長は、ともに事業局出身)。

 読売グループ内で絶対的な存在である読売新聞。現在絶好調の日本テレビや、そして巨人軍でさえも“子会社”扱いする、この“奥の院”の中心が前出の渡邉恒雄氏なのだ。「渡邉氏の意向がすべてを決めるという読売グループの体質が、今日の巨人の低迷の根本原因ではないかと思われます」(専門誌記者)

 実は、松井秀喜氏はこうした読売グループの体質を熟知しているがゆえに、なかなか監督を引き受けたがらないともいわれている。「6月25日に川崎市で野球教室を開いた松井氏ですが、今回も長嶋さんとは食事をしたといいます。ですが、今、読売と松井氏のパイプは、もはや長嶋さんしかないといいます」(前同)

 ゴジラの巨人軍監督就任は、今や風前の灯火状態だというのだ。前出のスポーツ紙記者は話す。「由伸はある意味、かわいそうです。まだ現役をやりたかったのに、松井が固辞したために急遽お鉢が回ってきた。がんじがらめの中で、監督経験ゼロの彼が何もできないのは当然です」

 と、さまざまな問題が山積みの巨人軍。だが、それらは、これまでもあったことで、そんな中でも巨人は常勝軍団であり続けてきた。それがなぜ今、すべてが悪い方向に出てきたのだろうか。前出のベテラン記者は、こう言うのだ。

「かつては、日本球界トップの選手は“憧れ”の巨人に来た。だが今、彼らの憧れはメジャーに変わってしまったんです。そして、もう一つは資金力。今や、巨人よりもソフトバンクが上。金が欲しい選手はソフトバンクに行くようになってしまった。もう巨人は、“絶対の存在”ではないんですよ」

 新聞社から携帯電話会社へ。世の中の金の流れの変化が、野球界にも大きな影響を及ぼしているのだ。

 東京ドームはさておき、地方球場での巨人戦では、すでに空席が目立ち始めているという。底が見えない闇から這い上がるための球団改革の時間は、多く残されてはいない――。

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