歯科医が教える「歯の健康術」

 我が国の習慣は“歯の先進国”の非常識! 話題の書籍の著者である専門医の2人が歯科の世界の知られざる情報を明かす!

 最近、『歯はみがいてはいけない』『やっぱり歯はみがいてはいけない実践編』『歯は治療してはいけない! あなたの人生を変える歯の新常識』(いずれも講談社+α新書)といった一般向けの歯科本が多数、出版され、話題を呼んでいるのをご存じだろうか。

 書籍タイトルの文言に驚いた人も多いだろうが、何もしなくてもよいというわけでは決してない。医療ジャーナリストが解説する。「日本で一般的と考えられてきた歯磨き習慣というものが、実は、歯の先進国の習慣とはかなり異なったものであり、“日本式歯磨き習慣”では、歯や歯茎にダメージを与えかねないという内容なのです」

 つまり、我々がこれまで何も疑いもせずに行ってきた歯のケアを、もう一度見直すべきだということなのだ。そこで、これら話題本の著者に、多くの人が知らない「歯の新常識」を取材した。

 まずは歯磨きについて、冒頭の『歯はみがいてはいけない』シリーズ2冊の著者である、『竹屋町森歯科クリニック』(京都府舞鶴市)の院長、森昭氏が話す。「多くの方が、いまだに歯磨き不足が虫歯の最大の原因と思っています。しかし、歯磨きの本来の目的は歯垢を取ること。虫歯や歯周病の原因になるのは、食後の食べかすではなく、細菌の塊である歯垢です。ですから、本当は歯ブラシだけでは十分取れない歯と歯の間の歯垢を取ってくれるデンタルフロスや歯間ブラシで行うほうが、むしろ何倍も重要なのです」

 森氏によれば、食後すぐに歯を磨く日本人の習慣も、本当は歯にとって大きなダメージになっていると言うのである。「食事直後の歯は、実は、非常に傷つきやすい状態なんです。食事で摂取した糖質によって、歯からリンやカルシウムが唾液に溶け出し、歯が柔らかい状態になるからです。そこに、研磨剤や発泡剤の入った歯磨き粉を使ってゴシゴシ磨けば、歯は傷つけられます。食事直後の唾液は、柔らかくなった歯の表面を30~60分かけて修復する働きを持っていますが、歯磨きをすることで、その効能すらも同時に失うことになるわけです」(前同)

 そのため森氏は、歯磨きは1日3回、食後すぐにするのではなく、朝起きてすぐと、寝る前の1日2回を推奨する。歯垢ができるのは食事をしてから約24時間後であり、同時に、寝ているときに最もできやすいからこそ、この2回で十分というのだ。

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