新大関・高安「綱取りへの課題」とはの画像
新大関・高安「綱取りへの課題」とはの画像

 波乱の初日に、日本中が息をのんだ名古屋場所。目標の初優勝、その先にある横綱の座はつかみ取れるか!?

 名古屋場所から新大関となった高安(27)。兄弟子の横綱・稀勢の里(31)とともに“キセタカ”ブームを巻き起こし、今場所も連日、満員御礼となった。「場所前の会見では、“ここから上を目指すのであれば、まず優勝というものが必然になってくる”と、横綱への意欲とも取れる初優勝宣言をし、期待させてくれました」(スポーツ紙相撲担当記者)

 だが、初日は平幕の北勝富士に敗れ、黒星発進。「立ち合いのかち上げが、空振りに終わったことが敗因。そのせいで、すべてが後手後手になってしまいました。あれが決まっていれば、勝っていたでしょうね」(ベテラン相撲記者)

 スポーツジャーナリストの大野勢太郎氏も「当たりのかち上げでガツンというのが高安の取り柄」と絶賛するほどだが、なぜ決まらなかったのか。「相手も研究していて、かち上げがくるのが分かっていたから、低く当たったんです」(前出の記者)

 今後も先読みされ、得意技が効かないとなれば、大いに不安だ。「旧鳴門部屋は皆、腰が高いですからね。腰を下げること、低く当たれば、さらに強くなるのでは」(前同)

 また、好角家の漫画家・やくみつる氏も、これまでの強みがアダとなる可能性を指摘する。「高安関は立ち合いの当たりが非常に強い。あまりにも強いために、相手が吹っ飛んじゃうんです。そのため、当然、相手との間に距離ができる。そこで、楽をして、はたきたくなるんです。そうして、はたいて楽に勝ってきたことが大関になれた要因でした」

 確かに現在、高安の決まり手で最も多いのが、はたき込み。だが、横綱がはたき込みで勝てば、“横綱らしくない”という批判がしばしば巻き起こる。「皮肉にも、横綱を目指すには、そうした相撲ではいけない。距離があいてしまった相手に、距離を詰めて寄り切るとか。そういう取り口で10番勝てるようになれば、綱も見えてくるのではないでしょうか」(前同)

 また、前出の大野氏はメンタル面についても言及。「北の湖でさえ、新大関となった場所の初日は負けていますから、プレッシャーで固くなったんでしょう。新大関は、新横綱よりもプレッシャーが強いんです。昨日まで挑戦者(関脇)だったのが、今日からは受けて立つ(大関)という、真逆の立場になる。“負けてもともと”だったのが、“負けたらダメ”と萎縮する気持ち。それに慣れるというか、気にしないことですね」

 特に、高安の場合、メンタル面が相撲に良くも悪くも出るという。

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