「波に乗れば、ドカーンと連勝できる力士です。気分屋というか、気持ち重視でしょ。いい雰囲気になれば、横綱だって押し出せる。スポーツは気持ちの切り替え。悪いことは忘れて、いいことだけ覚えて、それを続けることですよ」(前同)

 加えて、“優しすぎる”という指摘も。「稀勢の里も高安も優しいんです。怒らないと思われている。白鵬だって怖そうだし、日馬富士でもそう。北の湖も、千代の富士も怖かった。違いは何か。根が優しいんです。それだと対戦相手も舐めるし、怖くない」(前出のベテラン相撲記者)

 そうした点が“キセタカ”が愛される理由でもあるが、勝負の世界では諸刃の剣。「蛇ににらまれたカエルのように、対戦前からすでに勝っているような気持ちで相手を押さえつけないと。たまに、怖いことを平気で言ったりとかね。テレビ中継のときに、笑っているようじゃダメですよ」(前同)

 さらに、大野氏は稽古について、こう助言。「部屋の中だけでは狭い世界です。他の部屋の関取衆と、何番もやることですよ。稽古なんて、無様でも、失敗しても、そんなの関係ない。本場所で勝てれば、稽古でたくさん失敗した分、強い力士になるもんです」

 高安は大関取りとなった夏場所前、初めて一人で出稽古を行い、横綱・鶴竜らと対戦している。ただ、このときは稀勢の里がケガで、稽古の相手ができないという異例の事態だったから。「先代(旧・鳴門親方の故・元横綱・隆の里)が、外で出稽古するなと言ったらしいですが、時代は違いますよ。モンゴル勢は、稽古とは外でするものと思っているほど。部屋は自分の家族で、敵は外。その自覚を持てるかどうか」(同)

 また、余計なお世話だが、「嫁取りすることが、横綱への強い責任になりますよ。結婚披露で、どれだけご祝儀が来るか。それも、大きな励みになります。高安も人気力士ですから、将来は部屋を持つでしょう。なら、自分が輝いているときに、嫁取りするべきです。稀勢の里が師匠だと言っていますが、彼もまだ未婚ですし……」(スポーツ紙相撲担当記者)

 多くの不安要素が出たが、これも期待の裏返し。名古屋場所も二日目からは連勝し、観客を大いに沸かせた。「“優勝”を口にした高安ですが、そこまでの安定感はまだない。馬力はついてきているし、これからです」(ベテラン相撲記者)

 “横綱・高安”となる日が待ち遠しい!

本日の新着記事を読む

  1. 1
  2. 2