うっかり地球滅亡!? 危険すぎる「科学実験」の最前線の画像
うっかり地球滅亡!? 危険すぎる「科学実験」の最前線の画像

 SFには天才科学者が発明した兵器や技術で世界が破滅する話が、よくある。こうした科学の暴走は想像だけの世界ではない。あと少しで人類が滅亡したかもしれない、無謀で狂気に満ちた実験は何度も繰り返され、実際に、あと少しで大事故が起きたものも少なくないのだ。知らないところで、私たちの命は危機にさらされているのである。

【01】夜空が真昼のように! 宇宙で超核爆発

 米ソ冷戦が最も深刻だった1950~60年代、今では考えられないような核実験が行われていた。中でも常軌を逸しているのが、1962年7月9日、ハワイから1.45メガトンのW49核爆弾を高度400キロまで打ち上げて爆発させた、スターフィッシュ・プライム実験である。

 当時、地球の周りをヴァン・アレン帯という磁気の帯が覆っていることが発見されたばかりだったが、この実験では、ヴァン・アレン帯を破壊もしくは変化させることで、放射性物質をモスクワに落下させたり、爆発の衝撃を伝えることが可能かどうかを調査したといわれている。また、自国の上空(!)で核爆弾を爆発させることで人工的なヴァン・アレン帯を作り出し、大陸間弾道ミサイルの電子回路を放射線で破壊して不発にすることも検証された。

 しかし、この爆発は思わぬ結果を引き起こした。爆発と同時にハワイ上空がオーロラで覆いつくされ、地球の反対側を回っていたイギリスの人工衛星のシステムが停止してしまったのだ。地上でも街中の約300個の街灯が壊れたという。

 このとき初めて、核爆発によって大規模な電磁パルスが発生することが判明した。電子機器を破壊する電磁パルス爆弾である。もし今、同じ実験をしたらコンピュータネットワークは破壊され、人工衛星は落下し、空前の大災害が引き起こされるだろう。これは、ある意味で核戦争よりも怖い。

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