もし、それが実現すれば、サルと人間のハイブリット種ができることになる。人間の知性とサルの運動能力を持つ生物がいれば、それは無敵の兵士になるだろう。

 こうして獣人兵士開発の資金援助を政府から受けたイワノフは、ギニアへ渡った。1920年代に遺伝子操作技術はない。サルの遺伝子と人間の遺伝子を遠心分離機と顕微鏡で混ぜ合わせる技術はなかったのだ。

 では、イワノフは何をしたのか? 第一段階として、人間の精子をメスのチンパンジーに注入した。第二段階としてチンパンジーの精子を人間の女へ注入したという。このおぞましい実験は失敗に終わった。だが、その結果、SIVがHIVに変化したのではないか? と考えられないだろうか。

 世界はいつまでも続き、繁栄していくというのは幻想だ。常に崖っぷちに立っていると考えたほうがいいだろう。科学の暴走や取り返しのつかない政治判断のミスによって、いつ破滅してもおかしくないのだ。

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