北海道苫小牧市のノーザンホースパークで開催された「セレクトセール2017」を見学してきました。今年で20回目となるセリ市は、規模も、売上金額も日本最大。会場は、牧場関係者、馬主さん、調教師の先生、マスコミ、そしてジョッキーと、どこを見ても見知った顔ばかりで、競馬界がまるごと引っ越してきたような感じです。

 毎年注目を集めるディープインパクト産駒。10年、11年のリーデイングサイアー、キングカメハメハ産駒。そのキングカメハメハの仔で、12年、13年の最優秀短距離馬に輝いたロードカナロア産駒。堅実な仔を輩出し続けているハーツクライ産駒……どの馬も、いかにも走りそうで、セリの間中、ずっとワクワクしっぱなしでした。

 初日に行われた1歳馬、216頭の落札総額、86億3450万円。1頭平均、約3997万円はいずれも過去最高とのことで、競馬熱の高まりを肌で感じることができました。

 この中で、1億円を超えた馬は史上最多の16頭。そのうち9頭が、ディープインパクト産駒で、上位ベスト3を独占。セレクトセールを取材したイギリスの競馬誌レーシング・ポストが、“日出ずる国のスーパーサイアー”と紹介していましたが、まさにその通り。ディープの背中を知るただ一人のジョッキーとしては、ちょっとだけ誇らしい気持ちになりました。

 最高額、2億7000万円で落札された、G2ローズSの優勝馬、タッチングスピーチの全弟、リッスンの2016。2億6000万円で落札された、目下4連勝中のオープン馬、シルバーステートの全弟、シルヴァースカヤの2016。今年が初年度となる、サミターの2016が、2億5000万円。

――どの馬に乗ってみたいですか? 記者の方に訊かれましたが、もちろん、全部です。乗れるものなら、すべての馬に乗りたい――ジョッキーは全員、そう思っているはず。ライバルとして立ち塞がって来る馬は、容赦なく負かしに行きますが。

 2日目の当歳馬のセールは、さらにヒートアップ。フランスなどの重賞で4勝を挙げた名牝イルーシヴウェーヴの2017(父はディープインパクト)のセリは、1億円からスタート。

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