「金塊密輸ビジネス」その奇怪なウラ側と深淵

 普通の専業主婦から裏社会の住人まで関与する新たな犯罪。巨大な利益を生み出す狡猾な“シノギ”の実態を徹底取材!

 7月9日、格安航空会社のバニラ・エアが運行する飛行機内のトイレから数十キロの金塊が見つかった。同機は台湾から関西国際空港に到着した便で、到着後、奄美空港へ出発する予定だったが、調査で約4時間の遅延。大阪税関などが経緯を調査中だが、密輸グループが国内に金塊を持ち込もうとしたとみられている。それにしても、近頃は毎日のように「金塊密輸」のニュースが報じられている。

「6月1日、1億円相当の30キロの金塊を服の下に隠し、韓国から密輸した愛知県の主婦ら5人が逮捕。同15日には、キムチに偽装し、韓国から1億5000万円相当の金塊の密輸を図った疑いで、10人の男女が逮捕されました。さらに“大口”の密輸では佐賀県唐津市の漁港に、約9億3000万円相当の金塊約206キロを小型船で密輸した罪で、同船の船長の他、日本人、中国人8名が起訴されました。最近、金塊密輸事件が多いだけに、当局も目を光らせています」(全国紙社会部記者)

 いずれも関税法違反及び、消費税法違反の疑いである。そして、さらに恐ろしい事件も発覚した。「今年4月、大阪で、現金7000万円を所持していた男性2人が襲われた事件がありました。本当の衝撃は、被害者が持っていた現金が、密輸した金塊を換金したものだったこと。この強盗事件の被害者2人は、関税法違反で大阪府警に逮捕されました」(前同)

 なぜ、金塊密輸に関わる事件が頻発するようになったのだろうか。「金塊密輸のシノギは、昨日今日に始まったもんとちゃう。1990年代は、コレで小遣い稼いでるもんが、なんぼでもおった」と説明してくれたのは、さる広域指定団体とつきあいがあるというA氏だ。

 取材中、「俺もやった」という話を聞くことはよくあるが、その大半は、厳しい取締りでがんじがらめになった、裏街道を歩く者たちの嘆き節だ。しかし、A氏はゴルフ焼けした肌ツヤも眩しく、見るからに羽振りが良さそうである。聞けば、香港から帰ったばかりだという。

「日本は金塊を20万円以上持ち込むと、8%の消費税を取られる。逆に言えば、密輸すれば、消費税分が利益になる。1億円を動かすだけで確実に800万入るシノギ。元手があるなら、やらん手はない」(前同)

 そして、「おもろい人間を紹介したる」と、その場で電話を一本入れてくれた。後日、渋谷のホテルのラウンジで会った香港人のリー氏(仮名)は、とても“おもろい人間”には見えなかった。ジャケット姿は、育ちのいい大学生のようだ。「日本人の悪い人、最近、香港にたくさんいます。香港の高級ホテルのラウンジに1日座っていれば、日本でどんな犯罪がはやっているのか、よく分かりますよ」

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