駅弁のエキスパート2人が推薦する駅弁は必食決定だが、さらに、本誌が一切の忖度なく選出した激ウマ駅弁も記事最後のランキングにまとめた。今回1位に輝くのは、広島・宮島口駅の『あなごめし』(うえの)。これは櫻井氏も選出しているもので、日本の駅弁マニアがおいしいと、こぞって口を揃える最強の駅弁なのだ。

「広島県には多くの穴子弁当がありますが、これは断トツでおいしいと言い切れます。穴子の旨みと心地よい弾力感、出汁がしっかりと効いた薫り高いご飯は、いくらでも食べ進められて、しかも、絶対に飽きない! 宮島口駅を出て地下道を潜り、フェリー乗り場のほうへ歩く途中、右側に『うえの』の店舗があります。他の店と間違えないでくださいね!」(旅行誌編集者)

 実は駅弁購入において“似た名前問題”は非常に深刻な問題と言っていい。「シンプルな名前が多いだけに間違って買ってしまい、“評判ほどではないな”とガッカリすることも多々あるんです。購入時には値段や製造業者で、ぜひ確認してください」(前同)

 前出のヨネスケ氏も、「駅弁は食べてみるまでおいしいかどうか分からない。見た目とおいしさはなかなか関係しない」と話す。

 一方で、駅弁のレベルが非常に高く、ハズレが少ない激戦区もある。「北海道と東北は駅弁のレベルがすごく高いんですよ。駅でいえば、宮城・仙台駅、愛知・名古屋駅、滋賀・米原駅の3駅は、おいしい駅弁が数多くひしめき合っています」(前同)

 グルメ誌記者も、「北海道と東北は、海鮮、肉、米が、もともとおいしい地域。駅弁にも、それが反映されています」と同意する。仙台駅と名古屋駅は、駅弁事業者が3つも存在していることから、競争が激しくレベルが高くなっていると言えそうだ。本誌選出の激ウマ駅弁2位の『網焼き牛たん弁当』(こばやし)も仙台駅の切磋琢磨の中で生まれた。加熱式容器で瞬時に熱々になる牛たんは、どんな場所をも専門店に一変させるほどジューシーで美味。

 また、駅弁からは少し外れるが、駅構内の“立ち食いそば”も紹介しよう。「名古屋駅のホーム上にある『住よし』のきしめんは絶対に食べてほしいほど、とにかく美味い。上下線の両方にありますよ!」

 こう語るヨネスケ氏が、東京駅でも繰り返し食べる店があるという。「19番ホームの端っこにある立ち食いそば屋。ここのコロッケうどんが美味いんだよ。そばじゃなくて、うどんね。懐かしくて素朴な味がいいんだよ~」

 また、姫路駅内にある駅弁製造会社『まねき食品』の立ち食いそば店の「えきそば」は一風変わっている。「そばの出汁に入っているのは、中華麺なんです。一瞬、“え?”と思うんですが、これが不思議なほど合う。姫路では知らない人のいない“故郷の味”ですよ」(前出のグルメ誌記者)

 駅弁には、その土地の味と思い出が詰まっている!

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