前述した都議選当日の四者会談に呼ばれなかったことにも、「都議選でドブ板をやらせた俺を外し、安倍は何を考えているんだ!」と、不満タラタラの様子だという。「二階さんは、“場合によっては菅を担ぐ”と側近に漏らしています。二階、菅の両名は、気心の知れたところもあり、44人を擁する二階派が額賀派あたりと組むと厄介です」(官邸筋)

 加えて、サプライズ人事で総務相兼女性活躍相に就任した野田聖子元総務会長も、第4の爆弾と目される。野田総務相には、前回の総裁選では安倍首相のライバルとして出馬を目指したものの、推薦人が十分に集まらず、断念せざるをえなかった経緯がある。

「野田さんはオピニオン誌で集団的自衛権行使容認を批判するなど、安倍首相とは政治信条も真逆。そんな彼女を入閣させ、安倍首相は“トモダチ”にこだわらない姿勢を示しましたが、逆に言うと、いつ裏切るか分からない危険分子を入閣させたことにもなります」(前同)

 また、不出馬となった前回の総裁選では、当時まだ自民党員だった小池百合子都知事が、野田氏の推薦人の1人に名を連ねている。以来、2人は「互いに認め合う関係」(都民ファーストの会関係者)という。その小池知事は、内閣改造の前日である8月2日に、特別顧問を務める「都民ファーストの会」で、国政選挙の候補擁立へ向けた準備を進めると明言。

「改造前日の宣戦布告は、まさに新生・安倍政権への奇襲攻撃です。首相は野田さんに“小池対策”もお願いするはずですが、野田さんが素直に従うかどうか。逆に、国政進出を表明した小池知事がバックにいるということは、自民党を離党しても受け皿があるということですからね。これまで天敵だった安倍首相に従容と従うとは思えません」(前出の官邸筋)

 事実、入閣直後には「(来年9月の)総裁選には必ず出る」と爆談宣言している。安倍首相は獅子身中の虫を抱え込んでしまったようだ。

 続く、第5の爆弾は“ポスト安倍”をめぐる火種。虎視眈々と首相の座を狙う石破茂元地方創生相の動向だ。先日の産経新聞・FNNの合同世論調査では、「首相にふさわしい人物」を聞いたところ、安倍首相を抑え、石破氏が20.4%で1位に輝いている。「安倍首相が政権運営に腐心している間、石破氏は悠々と全国を回り、各県連の幹事長クラスの心をつかむこともできます」(政治評論家の角谷浩一氏)

 安倍首相は今改造で石破派の斎藤健氏を農水相に抜擢し“人質”を取っているが、「野田氏や河野氏といった反安倍の面々を入閣させて動きを封じるなら、石破氏こそ入閣させるべきだった」(前出の党関係者)という声が聞こえてくる。

 また、石破氏ほど露骨ではないが、岸田文雄氏も“ついに動いた”と噂される。「18年の総裁選を睨み、去就が注目されていた岸田氏。外相に留まれば“安倍首相に服従”と見られていましたが、改造人事では閣外に出て、党三役の政調会長に就任。これにより、安倍首相のためというより、“自民党のため”に働くというスタンスに変わりました。“安倍3選反対”の外堀が着々と埋まりつつあります」(前出の自民党関係者)

 外相は外れたものの、安倍首相は岸田氏に大きな期待をしているという。他の派閥を差し置き、岸田派から最多の4名が入閣していることでも明らかだ。「その見返りに、岸田さんには政調会長として、改憲議論の取りまとめをお願いするはずです。ただ、リベラルで知られる岸田さんは改憲に批判的な立場。党の大勢が改憲は時期尚早となれば、安倍首相の意向であっても突っぱねるでしょう。岸田派は、反安倍政権の権化である古賀誠名誉会長も影響力を残しています。閣僚を出しているとはいえ、一気に反安倍に転じる可能性もありますよ」(前出の官邸関係者)

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