「適正温度28℃」は本当に正しいのか? 快適猛暑回避術を徹底取材!

 今日も暑いぞ、ビールがうまい! そう言って豪快に飲みたいところだが、室内外の温度差か、体調が悪い。どうすりゃ、いいんだよ!

 魑魅魍魎がうごめく永田町。今年5月、口角泡を飛ばす激論が交わされていた。それは“冷房時の室温は28℃が最善か否か”だ。「科学的知見をもって28℃に決めたのではない。なんとなく28℃という目安でスタートし、それが独り歩きしたのが正直なところ」とぶちまけたのは、環境省の担当課長だった盛山正仁法務副大臣。クールビズが推進する目安“冷房時の室温28℃”は、裏づけも何もなかったのだ。

 くだんの暴露は、菅義偉官房長官、萩生田光一官房副長官、山本公一環境相をも巻き込み、一大論争に発展するも結論は出ずじまい。適正温度28℃は本当に正しいのか? 熱中症もエアコン病も無縁の“快適猛暑回避術”を徹底取材!

 大企業から中小零細企業まで多くの会社の顧問医、嘱託産業医を務める「下村労働衛生コンサルタント事務所」(東京都品川区)の下村洋一代表(医師)は、ズバッと断言する。「結論を先に言えば、28℃は現実的ではありません。政治的、すなわち“消エネ”を志向する要素が入っていて、高めの温度設定になっていると思います」

 2005年、クールビズは“地球温暖化対策”つまりは省エネを主目的に、小池百合子環境相(当時)が旗振り役となってスタート。それゆえ、以前から「28℃は人体には適正ではない」との反対論は多方面から噴出していた。

 下村氏が続ける。「私自身、産業医の立場から、純粋に健康のことだけを考えれば、オフィスの温度は“26℃”が適切だと指導しています」 26℃――これは一理あるようだ。

 全国紙の生活情報部記者は、こう言う。「首都圏の鉄道の室内設定温度にしても、26℃でした。福島第一原発事故直後、電力不足が心配され、東京メトロは全車両の設定温度を28℃に上げたところ、“暑すぎる!”と苦情が殺到。わずか2か月ほどで26℃に戻したほど、人間の生理にかなっているんです」

 早くもリアルな適正温度が分かってしまったが、本誌の“納涼テクニック”はそんなに甘いものではない。着目すべきは“温度”だけでなく、“湿度”だ。「日本の夏はきわめて湿度が高く、70%を超えます。その湿度を10%下げると、体感温度は1℃下がるんです。たとえば、気温だけで比べれば、はるかに高温で暑そうな中で暮らす中東の人々が平然としていられるのは、湿度が非常に低いからです」(前同)

 重要なのは、湿度。下村氏も、こう補足する。「環境省は、夏の熱中症予防対策として、気温だけでなく、湿度なども加味した“WBGT”という暑さ指数を目安にしています」

 やはり“湿度”である。環境省のホームページを覗き、あるページを見た記者は腰を抜かした。11年7月6日と9日、熱中症で搬送された人の数の比較である。ともに最高気温は32.5℃。日射量も同じ。搬送者数は、6日は50人、対する9日は倍近い94人。違いは両日の“湿度”だけ。6日の41%に対し、9日は56%――15%の違いが重症度を分けるのだ。

「しかも、環境省の“熱中症予防サイト”では、28℃以上を“厳重警戒”の基準とし、“室内では室温の上昇に注意せよ”とまで付記しています。人間の生き死にに関わる問題なのに、厚顔にも、クールビズは根拠のないダブルスタンダードを掲げていることが、このことによっても分かります」(前出の生活情報部記者) クールビズの嘘つき!

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