第3位(19%)には、長編オリジナル映画4作目となった『バケモノの子』(2015年公開)がランクイン。累計興行収入が58億円を突破した大ヒット作品だ。スペインで開催されたサン・セバスティアン国際映画祭に、アニメ映画として史上初めてコンペティション部門にノミネートされたことでも大きな話題になった。

 この作品は、主人公である人間の世界に生まれた人間の子ども“蓮”が、バケモノの世界に迷い込み、バケモノの弟子になって成長するストーリー。人間とバケモノの世界を行ったり来たりしながら、それぞれの世界の住人と交流し、自分の居場所を模索する少年の姿が描かれている。ストーリーの面白さを評価するコメントが多かった一方、「声優にすずちゃんが出ていた」(29歳女性)、「大泉さんが声優として参加してるから」(38歳女性)と、本作の声優陣にひかれたという人も。この映画のキャストには、宮崎あおい(31)、広瀬すず(19)、黒木華(27)といった華やかな女優から、役所広司(61)、津川雅彦(77)、大泉洋(44)、リリー・フランキー(53)といった実力派俳優まで、豪華な顔ぶれが並んでおり、その点も当時大きな話題となった。

 第2位(22%)となったのは、細田氏が初めて挑んだ長編オリジナル作品『サマーウォーズ』(2009年公開)。ネット上の仮想世界で暴走する人工知能と、現実世界に暮らす大家族の戦いを描いたひと夏の青春ストーリーだ。映画館での配給規模はけっして大きくなかったものの、DVDなどの売り上げが後押しするかたちで、最終的な興行収入は16億円を突破している。

 この作品は、特に若い男性からの支持が目立っていて、「世界観が好き」(34歳男性)、「無性にひかれた。何度も見た」(27歳男性)と、熱心なファンが多いようだ。

 そして堂々の第1位(33%)に輝いたのは、『時をかける少女』(2006年公開)だ。原作は1965年に発表された筒井康隆氏(82)によるSF小説で、当初はわずか21館のみでの上映だったが、最終的には全国100館以上でのロングランとなった。

 原作は時間を旅する能力を持った少女が主人公の学園モノだが、この映画では筒井氏が「本当の意味での二代目」と発言するほど大幅に設定を変更。まったく新しい物語としてアニメ化された。この作品を選出した理由としては、「次元を超えた話が良い」(36歳女性)、「せつないところが好き」(30歳女性)、「なんともいえない雰囲気、感動がある」(46歳男性)、「原作が好きだから」(49歳男性)と多種多様。まさに、幅広い層から愛される作品になっていることがうかがえる。

 細田守監督の次回作は、2018年5月の完成を目指して製作中とのこと。少年を主人公にした兄妹の物語になるようで、カンヌ国際映画祭のフィルムマーケットに出品されるという話もある。細田監督が”世界のホソダ”と呼ばれる日はそう遠くないかもしれない。

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