続いて1999年に放送され、いまだに傑作と語り継がれている「夏休みの思い出」の巻。夏の間だけ東京から静岡にやってきた少女、安藤りえちゃんとまる子たちの出会い、そして別れを描いたエピソードだ。仲良くなったりえちゃんとまる子たちは遊ぶようになるが、まる子のクラスメイトの杉山くんだけがてれ隠しなのか、りえちゃんにそっけない態度をとってしまう。しかし、杉山くんはりえちゃんが、実は体が弱いことにいち早く気づき、さりげなく気遣う行動をとったりもしていた。

 こうして楽しい夏休みを過ごしたりえちゃんとまる子たちだったが、やがて別れのときが訪れる。そこでまる子たちは、東京に帰るりえちゃんに記念の寄せ書きを贈ることに。しかし、杉山くんだけは「そういうの苦手なんだよ」と、一人だけ寄せ書きを書かなかった。それに気づいたりえちゃんは、杉山くんの家を訪れ、「ちゃんと書きなさいよ」と色紙を手渡す。そしてりえちゃんの出発日当日、色紙に「夢ぜったいかなえろよ!」と誰よりも大きな字で書いて渡した杉山くん。ピアニストを目指しているりえちゃんに、不器用ながらも力強いエールをおくったのだった。そんな杉山くんの淡い恋心がうかがえる、切ない物語に「大好きなエピソード」と語るファンは多い。

 その他にも、父ひろしと母すみれの出会いのエピソードを描いた「口笛が聞こえる」の巻や、花輪クンの執事であるヒデじいが“戦争”の体験を語る「ヒデじいの人生」の巻など、感動的なストーリーはたくさんある。ふだんの爆笑エピソードとは一味違う物語も『ちびまる子ちゃん』の魅力の一つだろう。

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