そうした現実を踏まえて、我が国で保険適用になっていなくても、がんに高い効果が望める最先端の治療法を、いくつか取材した。

 最初に話を聞いたのは、『健康増進クリニック』(東京都千代田区)の水上治院長。水上氏は医師歴40年以上のベテランで、西洋医療に先進医療などを加え、がんを中心に難病に苦しむ多くの患者を治療。「難病患者の駆け込み寺」として全国的に知られている。

 その水上院長がまず挙げるのが「超高濃度ビタミンC点滴療法」だ。「ビタミンCを大量に点滴すると、過酸化水素が大量発生し、これががん細胞を殺します。しかも、正常細胞は過酸化水素を分解するので無害なんです」(水上院長)

 この他、同クリニックで実施した結果、がんに高い効果が見られる治療法を2つ、挙げてくれた。まずは、「オゾン療法」。採血して取り出した血液に、オゾンを混ぜてから点滴で注入する。

「オゾンは過酸化水素を作って、がん細胞を殺すとともに、血中に酸素を増やし、血流を良くして、がん細胞に酸素を運び、がん細胞が存在しにくい環境を作ります」(前同) がん細胞が酸素の少ないところで増殖する特性を、逆に利用した格好だ。

 お次は「ラドン浴療法」。ウランはラジウム、そしてラドンに変化するが、そのラドンが溶け込んだり、空気中に充満しているラドン温泉として名高い「三朝温泉」(鳥取県)や「玉川温泉」(秋田県)は今も、がん患者に人気だという。

「ラドンが出す微量の放射線は有害どころか、むしろ免疫力を上げ、がん抑制遺伝子を活性化し、抗酸化効果などがあると考えられます」(同) いずれも欧米では保険適用になっていたり、多くの臨床がなされ効果があるとする、たくさんの論文が出されているという。

 次に聞いたのは、医療法人社団『桜伸会』経営の『さくらクリニック』(東京都渋谷区)の吉田治理事長。同クリニックでは、これまでに700例以上の最新の「がん遺伝子治療」が行われ、末期がんでも劇的に改善したケースも少なくないという。

 この「がん遺伝子治療」とは、がん細胞の中に「がん抑制遺伝子」などの治療タンパクを送り込み、がんの増殖を止め、がん細胞を細胞死に導くことを目的とした、最先端治療の中でも特に新しいものだ。当然、治療費も決して安くはないし、また、一縷の望みをかけて治療を受けても、残念ながら効果が出ないケースも一般的には多いという。

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