では逆に、原価率が低いネタは何か?「一部、例外もありますが、簡単に言ってしまえば、ネタが魚ではない商品は、ほとんどが原価率の低い“利益回収商品”と言えるでしょう」(市場関係者)

 つまり、かっぱ巻き、かんぴょう巻き、納豆巻きなど、鉄火巻き以外の「巻きもの」、さらには、ツナマヨやコーン軍艦、サラダ軍艦といった「サラダ系軍艦」が、それに当たる。

「これらの原価は、季節を問わずに10~15%といった原価率をキープしやすい。玉子も、多種額皿のグルメ系回転寿司店では、焼き立てのだし巻き玉子をウリにしている店がありますが、玉子にこだわっても、それでも一人前の原価は40%前後。切って出すだけの100円均一店では、原価率が30%を超えることはまずないでしょう」(前同)

 このように見ていくと、回転寿司がメインターゲットにしてきた“子ども向けのネタ”は、実はほとんどが回収メニューであることが分かる。「ジュースやバナナといった商品も、原価率は10~20%。原価率だけを考えると、子どもを連れていくと回転寿司は得ではない、ということになってしまいます。もし、こうした商品に手を出そうとしたら“バナナは後でスーパーで買ってあげるからいいでしょ”と、全力で阻止するべきです(笑)」(前出の食ライター)

 また、「汁もの」も多くは、店にとっては安く作れて高く売れる“原価の優等生”だという。回転寿司に造詣の深い、B級グルメ探究家の柳生九兵衛氏が言う。

「特に、あら汁などは魚を三枚に落とした残りの部分、つまり、本来なら捨てる部分を利用したもので、原価という点だけで見れば、かなり低い。しかし、汁ものは、店の実力を測るバロメーター。これがおいしい店は、細かなサービスに徹底した優良店であるばかりか、味をビシッと決めることができる職人がいるということです」

 わずかな大根や人参などの根菜類と味噌と水……原価率にしたら10%にも及ばない可能性もある。しかし、魚のだしが効いたあの味は、とてもではないが、家庭では真似できない。読者の皆さんの中にもファンは多いだろう。

 ただ、念押ししなければならないが、ダメな店は汁ものもダメだ。「あさり汁、しじみ汁など、汁ものメニューが豊富にあっても、味噌をお湯で溶かしただけの汁に、後から、あさりやしじみを入れただけで、だしの味がほとんど感じられない“手抜き汁を出している店もあります。当然、原価率は低く抑えられているので、味、原価率と二重の意味でオススメできませんね」(飲食店コンサルタント)

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