魔曲効果か、連打で2点を返すと、続く5回裏には2ラン2発で、あっという間に同点に追いつく。流れは智弁和歌山。6回に勝ち越すと、8回にも1点を追加。4回以降0点に抑えられていた興南も、8回になり捉え始める。2点差なら……と思っていたところで、智弁和歌山は9回にも1点を追加。この1点が大きかった。9回裏、興南は先頭打者が振り逃げで出塁すると、興南アルプスが最高潮の盛り上がりを見せる。『ハイサイおじさん』の演奏に、指笛とアーイヤーイヤサッサーのかけ声とともに、楽しそうに踊る人たち。まるでお祭りを見ているようだった。

 結局9―6で智弁和歌山が勝利したが、試合後は温かい拍手に包まれていた。だいぶ日が傾き、浜風が心地よく感じられるようになると、第4試合の大阪桐蔭と米子松蔭の選手たちがグラウンドに現れた。甲子園に到着してから12時間が経過していた。一日中、炎天下の中での野球観戦は相当しんどい。私は腕、膝に加え、耳まで真っ赤になっていた。日焼け止めを塗る際は、耳も忘れずに。

 席に戻ると、春のセンバツ王者の大阪桐蔭には、期待が集まっていて、試合前ノックのときから「お~!」という声が上がっていた。

 その大阪桐蔭の攻撃。吹奏楽の上手なことに驚いた。映画『ラ・ラ・ランド』の劇中歌や、RADWIMPSの『前前前世』を演奏し、5番の山本ダンテ武蔵選手の応援では、『君の瞳に恋してる』に合わせ、「アイ ラービュー ダンテ~」と、まるで演奏会に来ていると思えるほど巧みに奏でた。

 その応援を受け、大阪桐蔭は初回、2番福井章吾選手がライトスタンドに放り込み1点を先制。その後も2回に1点、4回に1点と得点を積み重ねる。ただ、米子松蔭の左腕エース辰己晴野投手が最少失点に食い止める。この辰己投手、速球は130kmに満たないながらも、抜群の制球力と緩急を披露していた。四球の心配がない小気味良い投球。個人的には2日間で最も好きな投手だった。

 結局6回6失点で降板したが、ビッグイニングを作らなかったあたりは、この辰己投手と米子松蔭守備陣によるものだろう。だが、大阪桐蔭の徳山壮磨投手の出来も素晴らしい。140km超のストレートを左右に投げ分け、アウトを積み重ねていく。7回表に津島隼人選手に三塁打と悪送球で1点を取られたものの、終わってみればこの1点のみ。大阪桐蔭が8―1と完勝した。途中、照明が点灯しナイターとなった第4試合。昼間とはまた雰囲気が一変し、あらためて美しい球場なのだと実感。

 途中、体がキツい時間もあったが、最後は「もう一泊しちゃおうかな」と思ってしまうほどの夢のような時間だった。来年は記念すべき第100回大会。野球バカの記者セキネ、チャンスがあれば、足を運びたいと思う。(了)

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