古代エジプト

 古代エジプト神話では、エジプトの王として君臨したオシリス神が死後にミイラとして復活し、冥界を司ったという神話があるため、来世での復活を信じて多くのミイラが作られていた。

古代ギリシア

 古代ギリシアには、輪廻転生を悲しみの輪と考えるオルペウス教や、前世の記憶を持つというピタゴラスによって創設された宗教結社があったほか、プラトンが霊魂の不滅を主張した。

インド哲学

 インド哲学は、生物の霊魂は生前の行いの結果によって肉体を変えて生まれ変わり続けるという思想を生んだ。この考え方は因果応報の法則に基づいており、際限なく繰り返される魂の輪廻を”苦”とし、そこから解放されて二度と生まれ変わらずにすむ”解脱”を理想とする。なお、瞑想やヨガの目的は解脱に至ることである。輪廻の考え方はインドで発祥したバラモン教やヒンドゥー教、ジャイナ教などにも見られる。

仏教

 仏教においても、教義の前提として輪廻や解脱の概念があるが「ブッダは輪廻を否定した」という主張をする研究者も多い。チベット仏教に限っていえば、観音菩薩の化身とされるダライ・ラマの存在がある。チベットの人々を救うために何度でも生まれ変わるとされ、先代が没すると遺言や預言、占いなどに基づいて転生者が捜索される。そして見つかった候補者が持つ前世の記憶などを確認し、関係者が合意すると公式にダライ・ラマの生まれ変わりと認定されるのだ。しかし在位中のダライ・ラマ14世は、2008年に自分は仏の生まれ変わりではなく、生身の人間であり、仏教の一僧侶にすぎないと語った。同時に後継者については高位の僧に判断を委ねると示唆し、転生活仏制度の放棄ともとれる内容の発言をしている。

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