阪神、DeNA、巨人「セ・リーグCS進出争い」を制するのは?の画像
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 はるか前方を疾駆する“赤備え”の勢いにやや陰りが。にわかに再び乱世の様相を呈し始めた終盤線、“後の先”を制して笑うのは誰ぞ!?

広島カープの背中を捕えるチャンスが到来

 今年のプロ野球ペナントレースも、いよいよ大詰め。セ・リーグでは、シーズン当初から好調を維持してきた広島カープが、連覇に向けて独走態勢に入ったと思われた。「しかし、ここへきて心配な要素も出てきました。ここまでチームを引っ張ってきた主砲の鈴木誠也が、8月23日のDeNA戦の守備で右足首を骨折して戦線離脱。その8月22~24日の3連戦では、DeNAに3戦連続でサヨナラ負けを喫したんです」(スポーツ紙デスク)

 やや勢いが鈍った広島を追うのは、阪神、DeNA、巨人。この3チームにとって、鯉の背中を捕えるまたとないチャンスが到来したわけだ。だが、野球解説者の江本孟紀氏は、「そうは言っても、今から広島をまくってのリーグ優勝は難しい」と言う。「残り試合数の関係上、やはり広島の優位は動かないでしょう。3チームはそれぞれに問題も抱えていますから、1か月で広島を上回るのは難しいでしょうね」

クライマックスシリーズを狙う巨人は…

 そうなると、狙うはクライマックスシリーズ(CS)。残り二十数試合、3チームが少しでも広島との差を詰め、なんとか2、3位に勝ち残れれば、CSでの「下剋上」も大いに狙えるというわけだ。そんな3チームの中で、最も厳しい立場にいるのは、やはり4位の巨人だろう。

 高橋由伸政権2年目の今年は、昨年に比べると菅野、田口、マイコラスの投手三本柱が安定しているのは好材料。だが、もう一人、先発を任せられる「4人目の投手」が出現しないことには、安定しないだろう。「その意味で、巨人の救世主になりうる存在といえば、8月27日の阪神戦で7回を1安打0点に抑えたルーキーの畠世周でしょう。なんといっても、ストレートで三振を取れるのは先発投手の大事な条件。彼は、それを十分に満たしていますしね」(前出のスポーツ紙デスク)

 畠はまだ一軍で43回1/3しか投げていないが、三振奪取率は菅野、マイコラス、カミネロ、マシソンを上回る11.01(成績はすべて8月31日時点)。この数字はリーグ首位で、“第4の男”となる資格は十分にあると言えるだろう。また、勝ち星こそつかなかったものの、8月30日の広島戦に先発し、広島の強力打線を5回途中まで2点に抑えた宮國椋丞が先発として使える目算が立ったのも大きい。

 一方、貧打に苦しんだ攻撃面にも明るい兆しが。「FAで獲得した陽岱鋼が後半戦からはきっちり仕事をして、前半は絶不調だった長野も、ようやく本来の打撃を見せ始めた。あとは、マギーを二塁に固定したのが大きいね。守備が不安視されていたけど、まあ大過ないし、何より三塁が空いたことで村田がレギュラーに復帰し、打線がつながるようになった効果は計り知れない」(巨人OB)

 ただ、前出の江本氏は次のように言う。「もっと早くそうするべきだったんですよ。でも、若手を育てるという名目で、なかなか手を打たなかった。ただし、巨人においては、それより優勝を目指すことのほうが重要ですからね」

 もしシーズン序盤から、このオーダーなら……と確かに思わなくもないが、CS下剋上には、これからでも遅くはない。

阪神タイガースには大逆転の可能性も!

 そんな巨人より有利な位置にいるのが、広島を追って2位の座をキープし続けている阪神。「このチームが、残りの試合で5連敗、6連敗するというのは、今シーズンの戦いぶりからあまり考えられない。今まで通り、勝ったり負けたりしながら、今の位置をキープするのではないでしょうか」(江本氏)

 投手陣の要・メッセンジャーの右足腓骨骨折での離脱は、あまりにも痛いが、この「駒不足」解消の鍵を握るのが、悩めるエース・藤浪晋太郎だ。「WBCから戻ってきて以来の不調で、シーズン前半はまったく使い物にならず、登板のたびに“四死球病”で自滅してきましたが、ここにきて、ようやく立ち直りの兆しが見え始めました」(在阪スポーツ紙記者)

 それを象徴するのが、8月27日の巨人戦。6回1/3を投げ、3安打9奪三振3失点と好投した。この試合でも、またもや死球をきっかけに崩れてしまい、勝ち投手の権利は失った。しかし、この点については、江本氏は「心配ない」と断言する。「あの試合を見る限り、藤浪は復活したと思います。たまたま、味方の援護がなく、勝ち投手になれなかっただけの話で、あの内容ならもう大丈夫でしょう」

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