自分の「守護霊」について、知っておきたい大切なこと

 守護霊とは、日本だけでなく世界中に見られる非常にポピュラーな概念。2017年2月に発売され全世界で累計100万本以上を出荷したPS4向けアクションRPG『仁王』では守護霊が重要な役割を担っているし、大人気ファンタジー小説『ハリーポッターシリーズ』(J・K・ローリング/静山社)でも守護霊に関するエピソードは頻繁に登場する。映画『ゴースト/ニューヨークの幻』で描かれた、亡くなった恋人の霊も、守護霊の一種といえるだろう。

 しかし、そもそも“守護霊”とは何なのだろうか? なんとなく知った気になっているだけで、よく分かっていない人も多いだろう。

守護霊の定義とは!?

 守護霊とは、いったいどんな霊なのだろうか? まずは辞書を参照してみよう。

【守護霊】心霊主義的な考えに基づいて、人に付き添い、その人を見守っているとされる霊。(デジタル大辞泉)

【守護霊】特定の人物,事物,場所などを守護する霊的存在。神統=神的階層(パンテオン)の上位を占めている存在は守護神と呼ばれることが多い。人物の守護霊には誕生とともに個人に付属するものがある。へその緒や〈えな〉が生涯の守護霊として、個人をあらゆる不幸・災害から守るとする例は、日本をはじめ世界各地に分布する。干支(えと)と結びついた神仏を個人の守護霊とする例は現代の日本にも見られる。ユダヤ教の守護天使やキリスト教の守護聖人は個人の守護霊であると同時に、土地、職業、自然などの守護神ともされる。(世界大百科事典 第2版)

【守護霊】個人や地域や職業を守る霊的存在。守護神として崇拝されることが多い。バビロンのマルドゥク、ニネベのイシュタルのように古代オリエント諸都市は守護神をもち、ギリシア・ローマでは文明の発展に伴って神々に特定の機能を付与した職業神も出現した。(百科事典マイペディア)

 伝統的な宗教における「守護神」と個人に付属する「守護霊」を、ひとまず分けて考えるのであれば、デジタル大辞泉に明記されている「心霊主義的な考え」というキーワードが重要になる。

心霊主義(スピリチュアリズム)とは?

 心霊主義とはSpiritualismの和訳で、人間は魂と肉体で構成され、肉体が消滅しても魂は存在し、生きている人間と交信できる、という考え方のこと。ヨーロッパ圏では古くから研究されてきたが、心霊主義は1840年代の米国からブームになった。

 流行の先駆けとなったのは、1948年にフォックス姉妹がアメリカのニューヨーク郊外で起こしたハイズビル事件である。当時15歳と12歳だったフォックス姉妹が、引っ越し先の新しい家で原因不明のラップ音がするというポルターガイスト現象を体験したことから始まった。このラップ音は霊によるもので、姉妹は音を使って霊界と交信できると噂になった。やがて姉妹は霊媒として地上にいる自分たちと霊的存在をつなぐ交霊会・心霊現象の興行を行うようになった。賛否両論があったが世間の注目を集め、興行はことごとく大成功した。

 心霊ブームはヨーロッパにも飛び火し、イギリスでは社会現象に。フランスや南米にも伝わり、全世界で大きな影響力を持った。1880年代には、心霊現象を科学的方法論で研究する学術団体も設立された。

日本における心霊主義

 フォックス姉妹がアメリカで巻き起こした心霊ブームは、1920年代に日本にも到達した。このとき「テーブル・ターニング」と呼ばれる交霊術の一種も伝わり、のちにアレンジされて「コックリさん」になったといわれている。

●日本の心霊主義の草分けは、浅野和三郎だった

 日本国内で心霊主義の啓蒙活動を行った人物としては浅野和三郎(1874-1937)が有名である。浅野は医者の家系に生まれたが、東京帝国大学在籍中から文才を発揮し、自分の著作や英米文学の翻訳を発表していた。卒業後は英語教官になったが、息子の病をきっかけに心霊研究に傾倒しはじめ、1923年に「心霊科学研究会」を、1929年に「心霊科学協会」を設立し、本格的に心霊研究を行った。ちなみに“守護霊”、“背後霊”、“地縛霊”といった今ではおなじみの日本語は、浅野が作ったものである。

●2000年代から、江原啓之が大ブームに

 2000年代以降のスピリチュアル・ブームを牽引したのは江原啓之(52)である。霊感が強かった江原は10代で心霊現象に悩まされるようになり、修行の道に入った。社会的に信頼されるように國學院大學で学んで正式な神職の資格を得た後は、アカデミックなスピリチュアリズムを勉強するために、本場とされるイギリスに渡って指導を受けた。

 1992年にファッション雑誌『CanCam』で紹介され、三冊目の著書『幸運を引き寄せるスピリチュアル・ブック』(三笠書房)が70万部を超えるベストセラーに。2005年から2009年まで『国分太一・美輪明宏・江原啓之のオーラの泉』(テレビ朝日系)に出演し、霊視で一躍注目を浴びるようになった。

心霊主義における、「守護霊」の考え方

 心霊主義において、すべての生者には必ず担当の守護霊がつく、と考えられている。また、一人の人間につく守護霊は一人とされ、原則としては交代しない。その役割は、生者の霊的目的を達成するための手助けで、基本的に人霊がその役割をにない、動物霊や神が守護霊になることはないという。また、守護霊は霊格が高く、現世の生者に直接干渉することは難しいため、指導霊や補助霊などの力を借りて、役目を果たすのだという。

さまざまな宗教における、守護霊の扱い

 守護霊は、なにも心霊主義(スピリチュアリズム)の専売特許ではない。さまざまな世界宗教の中にも登場する。しかしその扱いや捉え方は宗教や信仰ごとに異なっている。

●キリスト教における“守護天使”

 個人に付き添って導いてくれる天使。カトリック教会では、守護の対象に対して善を勧め、悪を退くように、その心を導く存在だと考えられている。

●神道における“産土神”

 産土神(うぶすながみ、うぶしなのかみ、うぶのかみ)は生まれた土地の守護神。引っ越しても一生を通じて守護してくれると信じられている。この産土神への信仰を産土信仰といい、初宮参りや七五三、成年式も産土信仰の一種である。

●仏教における”護法善神”

 護法善神(ごほうぜんじん)は、仏法と仏教徒の守護神。古いインド神話の神々が仏教に取り入れられた天部の神々のこと。

●沖縄県宮古島の“まうがん”

 まうがんとは、個人を守ってくれる一代限りの守護神のこと。子どもが生まれると、集落内に複数ある御嶽(うたき)のいずれかに所属することが決められる。仏壇とは別に個人用の神棚を作り、香炉を神体として1日と15日はかかさずに拝む。個人が死亡すると、まうがんもなくなり、香炉を神棚から降ろす。なお、細かい習慣は集落ごとに異なる。

祖先崇拝が、守護霊のルーツかも!?

 中国、朝鮮、日本など東北アジアの宗教体系の中には”祖先崇拝”という思想がある。これは祖霊信仰とも呼ばれ、亡くなった祖先が現世を生きる人に影響を与えるという考え方である。特に血縁関係を重んじる儒教の影響が強い地域で盛んな思想だが、日本でも普通に見ることができる。

 日本では、先祖を仏(ほとけ)様やご先祖様と呼んで位牌を仏壇に祀る習慣があるが、これは古くから残る祖霊信仰と、仏教が混ざったもの。地域によってさまざまな形式の違いがあるが、お盆、お彼岸、初七日、四十九日、一周忌、三回忌、七回忌、三十三回忌なども祖霊信仰である。

 この祖先崇拝が日本における守護霊の起源ではないかという説もあるが、定かではない。しかし日本人にとって、“守護霊”という新しい言葉がそれほど奇異で遠いものに感じられないどころか、ときに身近に感じられることもあるのは、祖先崇拝の影響があるのかもしれない。

自分の守護霊を知る方法とは?

 さて、自分の守護霊を知るにはどうしたらいいのだろうか? スピリチュアリズムから宗教まで、守護霊についての現在の定義はさまざまだ。ゆえに、自分の守護霊を知る方法に、これといった正解はない。自分の生まれた地域の神社の産土神を信仰してもいいし、心霊主義を学んでみてもいい。自分自身で“好きな考え方”を選べばいいのだ。

 ここでは前述した浅野の著作『小桜姫物語』の現代語訳版を少しだけ紹介しよう。日本スピリチュアリズム史上の金字塔と称される同書において、主人公が自分の守護霊と対面するシーンは参考になるかもしれない。

~略~

 誰にでも一人の守護霊がついていることは、心霊を志す方ならご存知のことと思いますが、私もご多分にもれず一人の守護霊がついていました。

~略~

 ある日ご神前で、いつものように深い精神統一状態に入った時のことです。突然一人の小柄な女性が眼の前に現れ、優しげににっこりと微笑まれました。

~略~

 意外なのはこのとき初めてお目にかかった私にとっては全然面識のない方なのにもかかわらず、私の胸になんともいえぬ親しみの気持ちがむくむく湧いてきちゃったことです。

~略~

「あのー、どなたでしょうか。」

 ようやく心を落ち着けて、私のほうから尋ねてみました。すると彼女は相変わらずにこやかに微笑みながら言いました。

「あなたは何もご存じなかったでしょうが、実は私はあなたの守護霊、あなたの身の上の事柄は何でもよく知っているものです。時期が来てなかったので今まで陰にひかえていましたが、これからは何でも話し相手になってあげますよ。」

 私は嬉しいやら、不思議な感じやら色々複雑な思いを抱いて、魂の親の前に初めて自分を投げ出したのでした。それはちょうど幼い頃に生き別れた母子が、何かの弾みで再会したような感じといえばおわかりいただけるかしら。とにかくこの出来事は私にとってほんとに思いがけない、また意義深い体験でした。

 激しい興奮からさめた私は、守護霊に向かっていろいろな質問を浴びせ、それでも腑に落ちないことは、指導役のおじいさまにも根掘り葉掘りうかがいました。それで守護霊の素性はもとより、人間と守護霊の関係、その他についておおよそのことが何とか理解できたんです。

~略~

まとめ

 この記事では”守護霊”について、知っておくべき事柄をまとめてみたが、いかがだっただろうか? 守護霊の存在は、いまだに科学的には証明されていない。ただし、亡くなった祖先を敬い、自分を守ってくれるものとして信じることは、自分の人生をよりよい方向へ導いてくれるかもしれない。

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