北朝鮮・金正恩の首を狙う「特殊部隊」その知られざる実力の画像
北朝鮮・金正恩の首を狙う「特殊部隊」その知られざる実力の画像

 たび重なるミサイル発射や核実験など、緊迫している北朝鮮情勢。「米トランプ政権内部では、対北積極派と穏健派が拮抗しています。積極派は一気に北を叩きたいわけですが、大規模な戦闘は、対話路線を主張する穏健派が許さない。そこで折衷案として、最高指導者の金正恩氏ら北朝鮮首脳を特殊部隊で“除去”する作戦が検討され始めたようです」(外務省関係者)

■韓国が金正恩の“斬首作戦部隊”を創設

 実際、ホワイトハウスの決断と前後して、北朝鮮の最高指導者である金正恩氏が激昂しそうな除去作戦に関する発表が、韓国側からなされている。「4日の韓国国会で、宋永武国防相が、金正恩氏ら北朝鮮首脳を暗殺する特殊任務を遂行する“斬首作戦部隊”を12月1日に創設し、実戦配備すると発表しました。北朝鮮首脳部は激怒しているはずです」(全国紙外信部記者)

 金正恩氏を含む首脳の排除(暗殺)を主任務とする斬首部隊。通常ならば、こうした部隊の存在は秘匿しておくのがセオリーである。なぜ、韓国はこれを公表したのだろうか?「実は、韓国では過去にも斬首部隊を編制したことがあります。有名なのは、映画『シルミド』(2003年の韓国映画)で描かれた金日成国家主席(当時)を暗殺するための特殊部隊、空軍2325連隊209派遣隊です」(軍事ジャーナリストの竹内修氏)

 北朝鮮領内に潜入し、隠密裏に金日成国家主席を暗殺することを目的に創設された209派遣隊は、文字通りの決死隊。仁川沖の実尾島(シルミド)で3年間、想像を絶する過酷な訓練が行われた。「31名の隊員の戦技は研ぎ澄まされ、野獣の如き鋭さを誇っていた。ただ、冷戦の緊張緩和の流れの中で、政府首脳は部隊を闇に葬ることを決断。これに反対した隊員が反乱を起こし、ソウルに侵入して軍と戦闘になり、最終的に生存者も処刑されてしまったのです」(全国紙外信部記者)

 こうした秘密が、映画で世間に知れ渡った結果、「北朝鮮の首脳を殺害するための特殊部隊を創設した際は、国民に公表しなければならなくなってしまったのです」(前出の竹内氏)

 斬首部隊の創設は、本来ならば隠しておきたかったものなのだ。「斬首部隊のベースとなるのは、韓国陸軍で“獅子部隊”と呼ばれる特殊戦司令部でしょう。彼らは山岳戦闘、水路潜入、空挺降下といった特殊作戦に必要な戦技を習得しています。さらに、特殊戦司令部の隷下には“白虎部隊”こと第707特殊任務大隊があります。同部隊はソウル五輪を機に創設され、市街地や建物内部での対テロ戦闘のエキスパートです。斬首部隊は、こうした精鋭部隊の中からトップエリートを選抜して創設されるはずです」(陸上自衛隊OB)

■アメリカ特殊部隊最強のSEALs

 斬首作戦に備え始めた韓国。だが、実際に作戦が断行された場合、主力となるのは米軍だという。「韓国側には、北朝鮮側に潜伏している軍の情報部やNIS(国家情報院)の内部協力者から得た情報を米軍に提供することが期待されています。新設される斬首部隊は、米軍部隊の支援任務がメインになるのではないでしょうか」(前同)

 それでは、作戦を主導する“米軍版斬首部隊”は、どのような陣容となるのか?「現在の米軍には陸海空軍、海兵隊の4軍に加えて、特殊作戦軍という独立した組織があり、SOCOMと呼ばれています。SOCOMは陸海空軍、海兵隊の特殊部隊を統合して指揮しますので、斬首作戦は、このSOCOMが主導することになるはずです」(軍事ジャーナリストの笹川英夫氏)

 米軍内には、グリーンベレー、デルタフォースなど、さまざまな特殊部隊が存在する。しかし、最強といわれているのが米海軍特殊作戦部隊SEALsだ。「SEALsは、海(SEA)、空(AIR)陸(LAND)の頭文字を取って命名されています。そのことからも分かるように、彼らはあらゆるエリアでの戦闘を極めたプロフェッショナルです。8つのチームに分かれて世界中に展開していますが、韓国に駐留しているのはチーム5です。斬首作戦に、このチーム5が参加することは確実ですね」(前出の陸自OB)

 加えて、SEALsの中でも最精強と呼ばれる“チーム6”も、合流する可能性が高いという。同隊は、1979年にイランで発生した米大使館人質事件を機に創設され、総兵力は約200人とされる。2001年にウサマ・ビンラディン氏を急襲した“ジェロニモ作戦”の中核を担った。

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