恐怖の都市伝説「ひきこさん」の真実とは!?

■ひきこさんとは?

「ひきこさん」とは都市伝説の一種。2000年代初頭に数多く生まれた、インターネット発の都市伝説だといわれている。はじめてネットに登場したのは2001年頃で、今はもうなくなってしまった怪談サイトが初出だといわれている。不特定多数のユーザーによって、物語のコピペがあちこちに出回ってどんどん尾ひれがついていったこの都市伝説は、ある程度の知名度を獲得したところで、テレビ番組で紹介されて爆発的に広まった。現在はホラー映画のテーマにもなり、DVDが数多くされるようになった。

■都市伝説「ひきこさん」の元になっている有名なコピペ

 まずは都市伝説「ひきこさん」の元になっている有名なコピペを要約してご紹介しよう。

 ある日、小学生のA君は通学路ですごいスピードで動いている女と遭遇した。その女は異様に背が高く、白いぼろぼろの着物を着ていて、長い髪が顔にかかっており、目と口が横に裂けていた。そしてちょうどA君くらいの大きさの人形を引きずっていた。よく見るとそれは人形ではなく、小学生そのものだった。A君は女に追いかけられたが、何とか無事に逃げ切ることができた。しかし翌日、A君の前に再び昨日の女が現れた。そして、今度は逃げ切ることができなかったA君は、女に引きずり去られてしまった……。

 女の名前は森妃姫子(モリ・ヒキコ)と言う。先生にえこひいきされたこと、名前が偉そうだということで、長い間いじめられていた。そしてある日、いじめグループの生徒に「ひいきのひきこ、ひっぱってやるよ!」と言われ、学校中を引きずり回され、顔が傷だらけになってしまった。

 学校に行かなくなったひきこさんは、家でも両親に暴力をふるわれた。そして自分でも傷が治るたびにカッターで顔を切りつけて口と目を裂いた。そのうち部屋からも出なくなり、親が日に一度コンビニの100円おにぎりと水を差し入れるだけになった。

 雨とヒキガエルが好きだったひきこさんは、そのうち雨の日に小学生を襲うようになった。小学生の足を捕まえると、ズルズル引きずってズタズタの肉塊にしてしまうのだ。自宅には引きずられた両親と小学生がコレクションされている。しかし、いじめられている子と、自分をいじめた子と同じ名前の子には近寄らない。また「引っ張るぞ!引っ張るぞ!」と叫ぶか、鏡を見せると逃げてしまう。

■その特徴を、あらためて整理

 以上が恐怖の都市伝説「ひきこさん」の物語である。その特徴をあらためて整理してみよう。

●ひきこさんの本名

 ひきこさんの本名は、物語の中で明かされているように森妃姫子(モリ・ヒキコ)だという。素直に解釈すれば、小学生を引きずるところから”引き子”となったといえるだろう。名前の響きが”えこひいき”や”ヒキガエル”を連想させるほか、姓名を入れ替えると”ヒキコ・モリ”になるという事実は興味深い。

●ルックスの特徴

 ひきこさんのルックスの特徴はいくつか挙げられる。

・異様に背が高い
・白いボロボロの服を着ている
・髪の毛が長い
・目と口が横に裂けている
・顔にひどい傷がある

●ひきこさんが襲わない相手の条件

 ひきこさんが襲わない相手の条件は比較的はっきりしており、いじめられっ子か、ひきこさんをいじめていた子と同じ名前のいじめっ子である。ただし、その具体的な名前は分からない。

●ひきこさんの対処法

 ひきこさんに見つかってしまったときの対処法は、基本的には下記のどちらかだ。

・「引っ張るぞ!引っ張るぞ!」と叫ぶ
・鏡を見せる

●ディティールが変化した派生バージョン

 なお、ひきこさんには細部が微妙に違う派生バージョンも見られる。

・ひきこさんの視界に入ったら、今度は自分が引きずられてしまう
・ひきこさんの外出時間が決まっている
・ひきこさんはいじめが原因で亡くなっている
・ひきこさんは自分をいじめた相手に復讐するために蘇った
・引きずった子どもは最終的にある場所に放置される。ある場所とは、かつてひきこさんがいじめを受けて亡くなった場所、または自殺した場所である
・自分と同じ名前の子どもは襲わない
・ひきこさんは、いじめられっ子の母親、または母親が悪霊と化した存在である

■似ている都市伝説

 有名な都市伝説の中には、ひきこさんとの類似点が見られるものもある。ここでは2つほどピックアップしてみた。

●口裂け女

 マスクをした若い女性が、学校帰りの子どもに「私ってきれい?」と聞く。子どもが「きれい」と答えると、女性は「これでも……?」と言いながらマスクを外して、耳元まで大きく口が裂けた素顔をさらす。子どもが「きれいじゃない」と答えると、包丁やハサミで切り殺してしまう。

 口裂け女とひきこさんが似ているポイントはいくつか見られる。

・どちらも女性
・口が裂けている
・ターゲットが子ども
・身長が高い
・足が速い
・退散させるための呪文がある

●てけてけ

 冬の北海道で女子高校生が電車にはねられ、胴体が真っ二つに切断されてしまった。しかも切断面が凍結し、しばらくの間は生きていたという。この話を聞いた人のところに3日以内に女性の霊が出現する。女性の霊には上半身しかなく、行方不明になった自分の下半身を探しているらしい。逃げても、両腕を”テケテケ”と鳴らしながら、上半身だけなのに、ものすごいスピードで追いかけてくる。呪文を唱えられないと恐ろしい目に遭う。

 てけてけにも、ひきこさんと似ているポイントがある。

・どちらも女性
・足が速い
・不自然に動く
・退散させるための呪文がある

■映像化されたひきこさん

 この「ひきこさん」の都市伝説は、映像化されて一気に有名になった。現在では、ホラー系都市伝説のキャラクターとして、定番になっている。

●TV番組

 ひきこさんが一気に有名になったのは、2003年放送の『世界痛快伝説!! 運命のダダダダーン!』(テレビ朝日系)の中で紹介されたことがきっかけだった。また2010年放送の『不可思議探偵団』(日本テレビ系)でも取り上げられた。

●DVD作品

『ひきこさん』

(ティーエムシー)2008年11月21日発売
いじめと虐待を受けて引きこもりになり、その恨みから小学生を襲うようになったという都市伝説・ひきこさんを描いた初のDVD作品。監督は永岡久明、出演は真田せつこ、可愛きょうこ、河西舞桜ほか

『真ひきこさん』

(ティーエムシー)2010年2月5日発売
都市伝説・ひきこさんを描いた同タイトル第2弾。監督は永岡久明、出演は藤本ゆき、原真司ほか

『エクスリベンジャーズ ひきこさん ミ・ナ・ゴ・ロ・シ』

(ティーエムシー)2010年8月6日発売
学校でのいじめを苦に自殺した岡田和馬の遺書には、浅生隆俊を呪うと書かれていた。しかし浅生は和馬をかばっていたことを知っていた浅生の妹は、和馬の残した遺書に疑問を持つ……。監督は山本淳一、出演は大塚未来、河西里音、麻美、絵仁、金澤ゆかりほか

『ひきこさんVS口裂け女』

(ビデオメーカー)2011年8月5日発売
ひきこさんから逃げる少女たちの前に、まさかの口裂け女が現れて……恐ろしい二人の女の間で壮絶なバトルが繰り広げられる!? 監督は永岡久明、出演は岡本ちひろ、藤田まい、定塚奈子、田原イサヲ、咲口芽衣香ほか

『ひきこさんVSこっくりさん』

(インターフィルム)2012年11月2日発売
幼い頃にひきこさんに襲われ、奇跡的に生還した女子高校生の沙織だが、同級生の恵美がいじめの復讐のために行ったこっくりさんがきっかけで、再びひきこさんを呼び起こしてしまい……。互いが邪魔になったひきこさんとこっくりさんが、ついに現世で対峙し凄惨な都市伝説バトルが……! 監督は永岡久明、出演は阪本麻美、野崎亜里沙、生田晴香、青山路代、桜まゆみほか

『ひきこさんの惨劇』

(アムモ98)2013年8月2日発売
ネットアイドルの千恵がレポーターを務めるネット番組「妖怪ちゃんねる」に、捕まった者は死ぬまで引きずられるというヒキコさんに関する情報が入った。さっそく取材を行ったのだが……。監督は吉川久岳、出演は吉川まりあ、鈴木祥二郎、川連廣明、松井功、落合孝裕ほか

『ひ・き・こ 降臨』

(アムモ98)2014年12月5日発売
小学校時代の同級生と再会したゆかりは、かつて嫌がらせを受けた空き地へ行ってみた。すると、そこにはいじめっ子グループだった一人が手足を縛られて転がっていて……。監督は吉川久岳、出演は秋月三佳、小宮一葉、サイボーグかおりほか

『ひきこさんVS貞子』

(インターフィルム)2015年8月5日発売
都市伝説から生まれた怪異と、呪われし力を持つ怨霊による2大ホラー対決! 監督は永岡久明、出演は高山璃子、五十嵐夏実ほか

■まとめ

 都市伝説は、誰かが創作し、それに尾ひれがついて出回る“お話”である。かつては人から人へと口承で伝わるパターンが大半だったが、TVやラジオ、本といったメディアの介入も目立つようになった。たとえば「人面犬」の都市伝説は、ライターの石丸元章氏が複数の雑誌の投稿欄を使って仕掛けた創作だったという話は有名である。ネットが発達した近年では、コピペが出回るというかたちで拡散されることが多く、この構造自体が口承やメディアが果たした役割をネットが引き継いだと見ることができるため、過去の都市伝説的であるといえるだろう。

 話を「ひきこさん」に戻そう。テーマとなっているのは学校でのいじめと、引きこもりという社会現象。いじめが原因で引きこもりになり、家族による虐待の末に閉じ込められて自傷行為へ走る……。つまり、子どもたちが抱えやすい現代社会の闇の部分が、物語への恐怖を倍増させている。だからこそ、短期間で定番の都市伝説に成長したのかもしれない。

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