巨人、阪神、楽天、西武…プロ野球「大喧嘩の裏側」の画像
巨人、阪神、楽天、西武…プロ野球「大喧嘩の裏側」の画像

 2017年のペナントレースは広島とソフトバンクの優勝で決着。これからはCS、日本シリーズのポストシーズンへと突入するプロ野球。しかし、球界の深部では、優勝争いとは別の「局地戦」が同時多発的に展開されている。“場外バトル”の裏側を総力レポート!

■阪神・掛布二軍監督電撃解任の裏に「黒い独裁」

 9月10日、金本阪神の「目玉人事」であった掛布雅之二軍監督が、今季限りで退任することが電撃発表された。球団は「世代交代のため」と説明したが、在阪のスポーツ紙記者は、「絶対にそれが理由ではない」と言い切るのだ。「そもそも掛布は、金本自身が、若手を育ててほしいという思いからチームに招聘したんやけど、時間が経過するうちに2人の考え方の違いが大きくなってきたんや」(前同)

 最も大きな違いは、選手の育て方について。「掛布は放任主義といわれるけど、実はけっこう練習をさせる。ただ、理論的に教えたい掛布に対して、金本は、“筋トレしろ”“スイングを速くしろ”など肉体強化が主眼の指導方針。掛布の、じっくりと教えるやり方が、生ぬるく見えたようやね」(同)

■金本知憲監督のプレッシャーが藤浪晋太郎をイップス症状に…

 掛布は、中谷将大、大山悠輔ら有望な若手を育て一軍に送り込んだ功績はあるものの、二軍に落ちた一軍選手がなかなか上がってこないという不満が、金本監督にはあったといわれる。「これは掛布の管轄ではないけど、藤浪晋太郎に対する金本の厳しいプレッシャーが、藤浪を現状の“イップス症状”に追い込んだという見方もある」(同)

 チームの成績に責任を負う監督として、金本に非はまったくないが、常に厳しく結果を求める金本流のやり方は、選手を潰してしまいかねない危険性を内包しているというのだ。「まあ、要は野球観の違いなんやろうけど、球団は掛布よりも金本を選択したということやな」(同)

 それは当然だろう。今年の金本阪神は開幕から優勝争いを繰り広げ、広島に次ぐ2位と大健闘。1試合平均の観客動員数では巨人を抜き12球団トップで、球団を大いに潤わせている。伝統的な“銭ゲバ球団”阪神の幹部が、金本監督の意向を大切にするのは当然で、今オフには新たに複数年契約を結び、長期政権がほぼ約束されているという報道が飛び交う。だが、一方では、こんな声も聞こえてくるのだ。「実は金本は派閥を作るタイプで、金本派に入らない選手やコーチを遠ざける傾向がある。掛布はそうした派閥が嫌いで、パージされたのではないかという話がある」(スポーツ紙デスク)

■鳥谷敬、福留孝介らも“親金本”ではない

 派閥に属さない=“反金本”ということではない。ただ、“親金本”ではないということは確か。そして、そうした立場にあるのは、掛布二軍監督だけではなく、「ベテランの鳥谷敬、福留孝介らがそうです。そして、矢野燿大作戦兼バッテリーコーチも金本とは一定の距離を置いている。矢野は来季、掛布の後の二軍監督候補に名前が挙がっていますが、これには、自分の派閥に入らない矢野を遠ざけようという、金本の意向が反映されていると噂されています」(前同)

 勝てば官軍、負ければ賊軍。チームが好成績を残し続ける限り金本阪神は安泰だが、負けが込み、観客動員が落ちる事態が生じると、瞬く間に転覆へ危うさも孕む独裁政権なのだ。

■巨人幹部が慄いた「右肩麻痺」澤村拓一の大激怒

 巨人が二つの大きなトラブルで大揺れに揺れている。一つは、球団のトレーナーのはり治療のミスによって、選手生命を脅かされる事態となった澤村拓一投手のトラブル。もう一つは、暴行騒動で球団により総額1億円以上の罰金、減俸を科された山口俊投手を巡る球団と選手会のトラブルだ。深刻なのは澤村の問題。「澤村の不調の原因は当初、イップスではないかと疑われていたんですが、実は球団トレーナーによるはり治療の失敗が原因でした。このことを球団が認め、“公に”澤村に謝罪したことは非常に大きい」(スポーツ紙デスク)

 経緯をたどると、澤村はキャンプ中に右肩の不調を訴え、2月27日にはり治療を受けた。だが、その後も症状は改善せず、長期間のリハビリを余儀なくされていた。「そこで、複数の医師の診察を受けたところ“長胸神経麻痺”と診断された。そして、その原因は、はり治療である可能性が高いと所見を受けたんです」(前同)

 夕刊紙記者は言う。「なんでも、短い針を打つところを長い針を打ってしまったとか。考えられないミスで、選手生命の危機すらある澤村は当然、大激怒。“球団を訴える!”という事態にまでなったそう」

 9月9日、石井一夫球団社長と鹿取義隆ゼネラルマネージャー、当該のトレーナーが澤村に謝罪。翌10日に、事件が報道された。「どうやら澤村は、内々ではなく事態が公になる形での謝罪を求めたようです。あらぬイップス疑惑をかけられていたんですから、それは当然ですよね。また、明らかになってないが、球団が澤村に手厚い“補償”を約束したのは間違いない。今年の年俸1億5000万円は来年も維持されるでしょうし、万が一、今後、投げられなくなっても、球団内での彼の職は確保されるはずです」(前同)

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