■怪物スラッガーといえば、清原和博や松井秀喜だが…

 そんなリスクがあるにもかかわらず、「清宮が欲しい」と各球団は言うのだ。なぜ、そこまでして清宮獲得にこだわるのか。まずは現時点の実力について、本誌連載でもおなじみの野球解説者・伊勢孝夫氏は、「素材としては良いものを持っている。遠くへ飛ばせる技術は持って生まれたもの」と高評価するが、ただ、やみくもにホームランを狙うというスタイルではプロでは通用しないと続ける。「プロでは、ヒットの延長がホームランという考えに立ってアベレージを残さなあかん。ホームランを30本打っても、2割そこそこじゃダメやね」

 怪物スラッガーのプロ入りといえば、清原和博や松井秀喜が思い出されるが、伊勢氏は、「その2人と比べたらあかん。清宮よりも、当時の清原、松井のほうが断然上やったよ」と断言する。西武に入団した清原は、ルーキイヤーの1986年から一塁に定着。シーズンの最後には4番に座り、打率.304、打点78、本塁打31という結果を残した。「今の清宮がすぐに一軍のスタメンを張れるほど、プロは甘くはない。シーズン途中から出てきて、せいぜい、打率.250、本塁打10本いけばいいほうではないか」(デスク)

 また、清宮にはポジションの問題も。彼が守る一塁は各球団、外国人をはじめ、強力な打者が並ぶのだ。黒江氏も、「清宮は一塁のポジションに同年代の強力なライバルのいない球団に進むのが望ましい」と言う。そういう意味でも阿部慎之助に衰えが見える巨人やベテラン内川が一塁を守るソフトバンクが最適と考えられる。

 だが、一塁に強力なレギュラーがいるチームも、清宮に触手を伸ばしているのだ。なぜか?「はっきり言うと彼の人気が欲しいんですよ。清宮に払う契約金なんてキャンプ、オープン戦で十分もとが取れる。斎藤佑樹を取った日ハムなんて、ドラフト翌年のオープン戦で、回収してお釣りがきたと言いますからね」(デスク)

 かつて斎藤の日ハム入団による経済効果は52億超と試算された。清宮の場合、投手の斎藤とは違い、毎試合出場することが可能で、斎藤の記録を塗り替えることは間違いなく、「100、200億円という驚異的な数字が出るかもしれない」(前同)と言うのだ。

 いずれにせよ、清宮フィーバーはこれからが本番。まずは、10月26日のドラフトを見守りたい!

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