■阪神の大躍進は糸井嘉男、福留孝介らベテラン勢の頑張り

 一方の阪神。こちらは巨人と違って、大躍進のシーズンだった。昨年の4位から2位に浮上して、観客動員も増加し、12球団で一番の客入り。金本知憲監督体制は、もはや盤石といってもいい。「金本監督はかつて詐欺事件に遭い、約8億円を失ったこともあり、稼ぐために、できるだけ長く監督を続けたい意向だといいます。彼は、今オフに複数年での契約延長をするといわれ、今季の年俸1億2000万円からの増額も間違いないようです」(前出のスポーツ紙記者)

 チーム、球団、金本監督、皆にとっていいことづくめに思えるが、今季の躍進を冷静に見ると、監督の掲げる“超変革”が奏功し、肝入りの若手抜擢で結果が出たというわけではないというのだ。江本氏が言う。「結局、今年の阪神を2位に押し上げた原動力は糸井嘉男、福留孝介、鳥谷敬というベテラン勢の頑張りにほかならない。チームの改革はできていないんです」

■金本知憲監督はキャンプで北條史也をMVPに指名したが…

 金本監督は、せっかく抜擢した若手選手を、我慢して、じっくり使うことをしない。「その典型が北條史也」だと江本氏は言う。北條はキャンプで金本監督が筆頭MVPに指名。鳥谷に代わり、遊撃のポジションを務めるはずだったが、打撃不振となり、レギュラーを剥奪。打率.210、3本塁打という情けない成績に終わっている。「金本監督は結果を求めすぎて、チャカチャカと選手を取り替える。こんなやり方では、選手は育たないでしょう」(前同)

 20本塁打をマークした中谷を除けば、期待された他の若手は、一軍と二軍を行き来する生活。昨年より成績を落とす選手が多くいたためか、今、そうした“金本チルドレン”と呼ばれる若手選手たちから、金本監督への不満が爆発しているという。阪神担当記者が声を潜めて言う。「可哀相なので名前は伏せますが、“打順をコロコロ変えられて大変”とボヤいていたAは、監督から突如、“本塁打を増やせ”と通告され、金本式打撃フォームに挑戦させられたが、全然合わずに苦しんでいる」

 Aのみならず、「Bは“もうワケが分からない”と嘆いています。シーズン中も監督から急に打撃指導を受けるから、キャンプからやってきたことをまったく出せない。しかも、その打法でないと試合に出してもらえないので、実践するものの、結果、打てないという悪循環。金本監督の強制的な、“パワー至上主義”打撃指導で、一部の若手が潰されようとしています」(前同)

■掛布雅之二軍監督を“クビ”に

 さらに悲劇は続く。選手に合わせた指導法に定評のあった掛布二軍監督を金本監督は“クビ”にした。「掛布氏がいなくなったことで、金本監督の若手への介入はより進むでしょう。金本式指導が清宮に合うか。AやBのように、せっかくの素材が台無しになってしまうかもしれません」(同)

 10・26ドラフト会議。怪物・清宮幸太郎の交渉権を獲得するのは、どの球団になるのだろうか。

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