■「インフラ緊急事態」は高速道路も例外ではない

 “待ったなし”の「インフラ緊急事態」は、高速道路も例外ではない。全国で約9000キロある高速道路のうち、4割以上となる約3700キロ区間で、開通から30年以上が経過。最も古い名神高速は、全線で50年以上がすでに経過。また、68~69年に開通した東名も、まもなく全線で50年目を迎え、東北道、中央道、中国道、九州道といった主要高速も、実はほとんどが40年を超えている。

■東京の大動脈“首都高”が最も危険!

 そんな中で、実は最も危険度が高いとされるのが、東京の大動脈“首都高”だ。全長約319キロのうち、開通から50年以上経過した区間が50キロ近くもあり、30年以上の区間は6割以上。あまつさえ、その構造物比率は95%そのほとんどが橋とトンネルなのである。東名(御殿場JCT~三ヶ日JCT)の20%と比較すると、その特異さは一目瞭然だ。「一日100万台という膨大な交通量による、物理的損傷も大きい。現在の基準よりも損傷を2倍受けやすいとされる、昭和48年以前の建築方式で造られた区間が多く、事実、損傷の激しい区間は、その昭和48年以前の設計です」(村松氏)

 現在、首都高・羽田線の東品川桟橋の架け替え工事が行われている。これは老朽化・劣化がひどく、補修工事だけでは対応できずに造り直しているのだ。そのため、この9月から東品川桟橋の隣に新たに建設した迂回路への切り替えが行われ(上りのみ)、大井JCTは19年9月まで通行止めとなっている。「東品川桟橋は満潮時に海面から1メートルに満たないために塩害も著しく、内部の鉄筋までもが腐食。関係者からは“これは公表すべきではない”“すぐにでも通行止めにすべき”との発言まで出た」(社会部デスク)

■東日本大震災で崩壊してもおかしくなかった

 実は、「東日本大震災で崩壊してもおかしくなかった」(前同)という代物だ。他にも危険度の高い5区間、計8キロが同じく大規模“更新”の対象となっており、その費用は3800億円。さらに、3号渋谷線と4号新宿線の55キロは2500億円をかけて大規模修繕することとなった。「50年超え区間すべてを造り直すには2兆円以上の予算が必要ですが、捻出できるはずもない。しかも今後は、東京五輪の公共工事に人手が取られて首都高整備に力を注げる環境になく、事態の悪化は確実」(同)

 これは、全線の約3割が建設から40年が経過する阪神高速も同様だ。

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