■東海道新幹線も老朽化はすさまじい

 さらに、64年の東京五輪に合わせて開業した東海道新幹線もすでに“53歳”。「その老朽化はすさまじく、JR東海が3兆円の自腹を切ってまでリニア新幹線の着工にこだわったのもそのため。懸念される東南海地震によって全壊も考えられ、リニア開業後に東海道新幹線の運行を数年間ストップして、リフレッシュ工事をする話も出ています」(同)

 日本経済に深刻なダメージを与えかねない老朽化問題だが、より深刻かもしれないのは、都市部の外側の地方。というのも、「老朽箇所は財政難の自治体に多く、さらに、補修・更新の予算もないことから、そのまま廃止になる可能性が高い」(地方紙記者)からだ。「たとえば四国では、当該整備局が管理する道路橋のうち、その40%が高度成長期にできたもの。50年超えの橋梁の割合は、この20年以内に70%に増加します。そのうち、補修されて残るのはどのくらいなのか。日常生活に直結する大きな問題です」(前同)

■信号機の誤作動で人身事故

 また、信号機の老朽化も危険水域に達しており、「全国約20万基の信号機のうち、4万基以上が更新を必要としています。12年には兵庫県で信号機が突然倒れ、乗用車を破損。昨年8月には誤作動を起こして、人身事故が起きています」(同)

 信号機は都道府県がその更新を行うが、予算不足から追いついていないのが現状。老朽化率が最も高いのは福島県(35.6%)で、以下、兵庫県(33.7%)、愛知県(32.6%)と続く。ちなみに最も低いのは岐阜県で、わずか0.6%だ。根本氏は、こう力説する。「高度経済成長期に集中投資したすべてのインフラが同じ状況です。公共施設も同様で、庁舎、学校、公営住宅は相当古くなっている。地方の各自治体が本気でこの問題に取り組むのならば、学校以外はすべて廃止するくらいの覚悟が必要です」

 日本は、“老朽化”というトンネルから抜け出すことができるのだろうか。

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