■健康へのこだわりから食費が増えるケースも

 一方で横山氏は、老後生活の家計について次のように警鐘を鳴らす。「退職後はつきあいもなくなるから、現役時代より食費が減ると思っていたら、“量より質”に転換。健康に良い物をとこだわって、食費が増えたという例があります。また、年齢に伴い手間をかけなくなるようになり、惣菜や弁当が増えることで、食費が増大するケースもあります。このような、自覚があまりないまま少しずつ、出費が増えていく“メタボ家計”には注意が必要です」

■医療保険をどうするべきか

 また、老後の出費を考えるうえで、誰もが気になるのが保険だろう。「死亡保険に関しては、子どもが成長して保障の必要がなくなったということで解約される方も多いように、必要性を感じなければ、契約を維持しなくてもいいかもしれません」(前同)

 問題は、医療保険をどうするかだ。加齢とともに病気のリスクは高まるため、その扱いは難しいところ。「病気がちで入退院を繰り返している人や、医療費に回す貯金がまったくない場合は別ですが、日本には高額療養費制度がありますから、“医療保険に入るのが当たり前”という考えは改めるべきでしょう」(同)

 高額療養費制度というのは、自己負担額が高額の場合、一定金額を超えた額が、後に払い戻されるというもの。つまり、日本国民は何もせずとも“最強の医療保険”に入っているわけだ。

■車やスマホ代を見直し

 横山氏によると、見直すことで出費を減らせる部分は他にもあるという。「たとえば車です。必要なときにだけ使えるカーシェアリングにすることで、税金や車検代、保険代といった維持費を減らせます。また、携帯電話を格安スマホにするなど、通信費の削減は簡単に支出を減らせる分野でもあります」

 事実、本誌の副編集長Kも、大手携帯会社から格安携帯に乗り換えたところ、たちまち毎月6000円も通信費が下がったのだ。これは、年間にすれば7万2000円の削減である。

 以上を要約すると、老後にお金に困らない最大のポイントは「70歳から4割増しの年金をもらうこと」で、そのために、退職後の10年間を、どうしのぐか。また、生活自体を見直して、無駄な出費は抑えることだ。これを守れば、先に計算したように、定年時点で、たとえ貯金が500万円しかなくても、しっかりとした生活費を確保でき、しかも毎月8万円強を趣味や旅行に当てられるのだ。

 不安ばかりあおられる老後の生活。まずは、あなたの生活を、もう一度見つめ直してほしい。

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