■30分以内の仮眠が最も効果的

 下村氏、牧氏の2人が強く勧め、眠気覚ましに最も効果があるとするのが、30分以内の仮眠だという。わずかな仮眠など効果がなく、逆に疲労を増すと思っている読者もいるかもしれないが、「そんなことはありません。医学的に、わずかの仮眠でも『睡眠負荷』を減らし、効果があることが分かっています。30分を超えると深い眠りに入ってしまい、逆効果になるので要注意です。仮眠をする前にコーヒーを飲んでおけば、カフェインの覚醒作用は約30分後に効くので、いい目覚めになるでしょう」(前同)

 仮眠時間を30分確保するのが難しいという場合もあるが、そういうときに行いたいのが「1分仮眠」。前出の医療ライターが話す。「イスに深く座ったら、肩から足先まで全身をリラックス。その状態で目をつぶるだけです。外部からの音や刺激をすべて無視することで、脳がかなり休息されます。ポイントは、決定的に眠くなる前から何度か行うこと」

 長時間運転を行う際には、SA・PAでトイレ休憩する際に行えば良さそうだ。

■トリプトファンや食物繊維を多く摂取

 眠気覚ましの要因は、食べ物にもある。睡眠ホルモン「メラトニン」の存在はすでに触れたが、このメラトニンを多く含む食材があるのだ。「アメリカンチェリーやケールはメラトニンが豊富に含まれています。アメリカンチェリーはお菓子や飲料水でも売られていますし、ケールは青汁の主な材料。運転時には、これらを避けたいですね」(前同)

 一方、目覚めやストレス解消に密接に結びつく「セロトニン」の元になる「トリプトファン」を多く含む食材もある。チーズ、納豆、カツなどだ。トリプトファンは体内でつくられることがなく、これら食べ物から摂取するしかない。また、食事の際に、食物繊維を多く摂取することも眠くならないポイントだ。「血糖値を急激に上げると、体はそれを下げようとしてインスリンを分泌。結果、急激に眠くなります。ところが、食事の際に食物繊維を採ると、糖の吸収が穏やかになるため、眠くなりやすさを遠ざけることにつながるんです」(同)

 知ってそうで意外と知らない眠気と体の関係。眠いときは仮眠するのがベストであることは何度も述べた通り。無理をせずに、“修羅場”を切り抜けてほしい!

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