今週のあなたに会いたいは、“絶対王者”と呼ばれた元プロレスラーの小橋建太さんです! 実は私、プロレスを生で観たことないですが……たび重なる大ケガを不屈の闘志で乗り越えて来られた小橋さんは、2006年に腎臓がんが見つかり、レスラーとして再起不能といわれながらも見事、復帰。引退された今は、小児がんを患う子どもたちのために、さまざまな活動を行っていらっしゃるんです。そんな男の中の男・小橋さんに私は、今回お会いしてみたいと思ったんです。
■三沢光晴のエルボーで鼻を複雑骨折して最初の手術
ゆま「小橋さんにお会いする前に、私なりにプロレスラー時代のことを調べてきたんですが、本当にすごい! 何度も何度も大ケガをされ、手術も幾度となく受けてこられたんですよね」
小橋「そうですね。手術のときの全身麻酔の経験が13回……そんなになるのか(笑)。最初は、三冠戦で三沢(光晴)さんのエルボーで、鼻を複雑骨折したときでしたね」
ゆま「三沢さんのエルボーは、そんなにすごいんですね……すいません私、プロレスを分かっていなくて」
小橋「はい。手術しないと、鼻が曲がったままになるほどです。2回目は膝の手術で、3回目は膝と肘の手術だったかな。ゆまさんも、何度か全身麻酔をしたんですか?」
ゆま「いえいえ(笑)。私は24歳のときに境界悪性腫瘍にかかって、子宮と卵巣を摘出する手術をしたんですが、全身麻酔はそれ1回だけです。ほんと一瞬で、意識がなくなりますよね」
小橋「ええ。僕は、3回目の全身麻酔のときから、どこまで意識を保てるか挑戦し始めたんです。時計を見ながら……でも、5秒で落ちた。それが悔しくて4回目のときは、もっと気合いを入れて頑張ったら、10秒持った。最終的には15秒は保てるようになりましたね」
ゆま「いやいや、そこは別に戦わなくても(笑)」
小橋「悔しいじゃないですか。当時は手術のたび、今回こそ麻酔を跳ね返してやろうと思っていましたね」
■プロレスラーは健康診断を受けない!?
ゆま「さすが“絶対王者”と呼ばれた小橋さんですね(笑)! あの~、腎臓がんが見つかったのは2006年ということですが……」
小橋「そうでしたね。それまで健康診断など受けたことがなかったんですが、この当時、僕はプロレスリング・ノアという団体に所属していて、ノアでは年に1回は健康診断を受けるようになっていたんです。それで調べてもらったら、見つかったんですね」
ゆま「え? それまでは一度も健康診断を受けてなかったんですか?」
小橋「プロレスラーですから、健康診断なんてものは受けるものではないと」
ゆま「ええ!? レスラーだからこそ健康診断が必要な気がしますよ~。がんが見つかるまで、自覚症状はなかったんですか?」
●検査の1週間前にチャンピオン。まさか、腎臓がんとは…
小橋「06年に入ってから確かに風邪が治らなかったり、周りから顔色が悪いとはいわれたりしていたんですけどね。とはいえ、検査を受ける1週間前に、僕はタッグでチャンピオンになっているんです。そんな元気な自分がまさか、がんを患っているなんて、想像もしていなかったです」
ゆま「そうなんですね……初めてがんと知ったときは、どう思われました?」
小橋「信じられなかったし、俺はこのまま死んじゃうのかな、と思いました。悲痛、というのかな。ゆまさんはどうでした?」
ゆま「私の場合、境界悪性腫瘍だったので、お腹を開いて確認するまで、悪性か良性か分からない状態だったので……それでもやっぱり、死の恐怖はありました」
小橋「同じですね。僕もお腹を開いて、病理検査をするまでは分からないといわれていました」
●スポーツ選手は腎臓を取るとほぼ復帰できない
ゆま「あの状態は辛いですよね。腎臓がんについて私、調べてみたんですが、スポーツをする人にとっては、腎臓を取ってしまうと、復帰はほぼできないんですね」
小橋「そうなんです。“タンパク質”が良くないんですね。腎臓を取ると、余分なタンパク質を排出する機能が弱くなるので本来、タンパク質は控えないといけない。しかし、プロレスラーは筋肉をつけるために、プロテインも飲んで、タンパク質を摂らないといけない」
ゆま「タンパク質が摂れないと、筋肉はどんどん減ってしまうんですよね」