下関マグロ「町中華は、まずいほうがうれしいんです」麻美ゆまのあなたに会いたい!の画像
下関マグロ「町中華は、まずいほうがうれしいんです」麻美ゆまのあなたに会いたい!の画像

 今週のあなたに会いたいは、エッセイストの下関マグロさんです。週刊大衆でもおなじみのコメンテーターですが、今回、私がマグロさんにお会いしたかった理由はズバリ、「町中華」! マグロさんはなんと、300軒以上の町中華を探索されていて、昨年には『町中華とはなんだ』という本も出版されているんです。実は私も子どもの頃から町の中華屋さんが大好き。ですが今、その中華に大きな問題が起きているというんです。マグロさんオススメの中華料理店『中華丸長』さんで聞いてきました。

■昭和のお茶の間って感じでイイ雰囲気!

ゆま「イイ雰囲気のお店ですね! まるで、自分の家に帰ってきたような畳の和室で押し入れもあって、テレビも置いてあって。昭和のお茶の間って感じです」

下関「さすが、分かっていらっしゃる。畳には、子どもが何かの汁をこぼしたような跡なんかも残っていてね。最高ですね~」

ゆま「はい。テーブルもいい具合にベタッとしていて、歴史を感じます~!」

下関「そうなんです。長年の油が染みついているんですね~。メニューも触ってみてください」

ゆま「うわあ、いい感じ(笑)。こういうお店のほうが、こっちも気取らなくてすむので安心できます」

下関「置いてある週刊誌なんか、袋とじを誰かが勝手に開けてますからね(笑)」

ゆま「アハハ。お客さんも自分の家にいる感覚でしょうね」

下関「ゆまさんも町の中華屋がお好きだと聞いていましたが、本当なんですね。うれしい限りです。こんなに若い女性が町中華の良さを分かってくれるなんて」

ゆま「若くはないですけどね(笑)。私は群馬県の高崎市出身で、地元にも町中華がたくさんあって、子どもの頃は家族と一緒によく食べに行っていたんです」

下関「いいですね~」

■カレーライスにオムライス、カツ丼が三種の神器

ゆま「マグロさんは何がキッカケで、町中華探索に目覚めたんですか?」

下関「もともとは、そんなに興味がなかったし、“町中華”という言葉も知らなかったんです。ただ、書籍『町中華とはなんだ』で一緒に書いている僕の相方・北尾トロが大の町中華好きで、ウンチクを聞いているうちに僕もハマったんですね」

ゆま「へえー。ウンチクって、どんな感じですか?」

下関「たとえば、町中華には“三種の神器”があるとかですかね。カレーライスにオムライス、カツ丼が三種の神器です」

ゆま「アハハ。中華とまったく関係がない料理ばかり(笑)。こちらのお店も、カレーにオムライス、あっ、カツ丼はないけど、カツカレーがありますね。あと、アジフライ定食なんかもありますよ。おいしそう~」

下関「じゃあ、アジフライを注文しましょう。あとは、定番のチャーハンに広東麺、ワンタン……」

ゆま「焼肉定食も食べましょうよ。焼肉なのに“ショーガヤキ”と書いてありますけど……(笑)」

下関「町中華では、ショーガヤキこそ焼肉なんです」

ゆま「なるほど! あ、餃子もいいですか?」

下関「どうぞ、どうぞ」

■お店の看板にある“今日のオススメ”をチェック

ゆま「マグロさんのオススメは、どれですか?」

下関「どこのお店にも通じるのですが、やはりオススメはお店の看板に書いてある“今日のオススメ”です。見に行きましょう」

ゆま「はい!」

下関「見てください。オススメなのに、黒板の文字がかすれて非常に見えにくいですね。これぞ町中華!」

ゆま「はい、ゾクゾクします(笑)。本日のオススメは“レバー野菜イタメ”ですね。おかみさん、お願いしまーす」(料理が次々と運ばれてきました)

ゆま「では、いただきまーす! まずは、やっぱりオススメのレバー野菜イタメから。実は私、レバーが苦手なんです……えっ、これはイケます。あっさりしていて、おいしい」

下関「良かったです。ただ、町中華は逆に、ものすごくまずい物や臭い物が出てきたときのほうが印象に残るんです」

ゆま「そうなんですか!?」

下関「僕としては、町中華はまずいほうがうれしいんです。あとで“あそこのラーメン、本当にまずかったよね~”と、一緒に食べたみんなと喫茶店で語り合えるのが、また楽しいんです」

■喫茶店のコーヒーで“油流し”

ゆま「町中華のあと、喫茶店に行くんですか?」

下関「そうなんです。町中華は“化調の味”が強いですから、舌がヒリヒリすることもあるんです。食べ終わった後は、コーヒーで“油流し”をするんですよ」

ゆま「化調?」

下関「化学調味料のことですね。化調こそが、町中華の安定したうま味でもあります」

ゆま「なるほど。じゃあ、町中華の味を、たっぷり味わわせていただきま~す」(次回につづく)

下関マグロ(しものせき・まぐろ)
1958年6月17日、山口県下関市生まれ。エッセイスト、フリーライター。散歩ガイドからフェチ系コメントまで幅広くこなす。14年頃から町中華を食べ歩く活動を始め、現在は、“町中華探検隊”の副隊長を務める。北尾トロ氏との共著『町中華とはなんだ』(立東舎)は絶賛好評発売中!

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