「振り込め詐欺犯」大反省座談会~被害に遭わないヒントがここに!

 長袖のTシャツの袖口から黒々としたタトゥーが覗くA。一見したところ保険の営業マンのようにしか見えない、現役サラリーマンのB。カジュアルファッションに身を包んだC。職業も年齢も不詳、秋葉原が似合いそうなオタク風のD。集まったのは、年齢も外見の印象もまったく異なる4人だが、実は彼らには共通点がある。全員が振り込め詐欺絡みの事件で逮捕され、服役経験があるのだ。

 それぞれ所属したグループや当時の役割は異なるものの、似た経験をしてきたゆえ、話は思わぬ盛り上がりを見せた。前代未聞、振り込め詐欺犯OBたちによる、座談会の行方は――。

【座談会参加者】
A(現役構成員):グループのまとめ役の元番頭。懲役8年。
B(サラリーマン):元受け子。初犯で懲役2年。
C(飲食店経営者):元営業、つまり電話の掛け子。懲役6年。
D(自称生活保護者):かつては受け子の元見張り役。懲役3年。

■警察が待ち構えて逮捕され…

――自己紹介からお願します。服役年数や当時の立場、稼ぎなど教えてください。

A 自分は懲役8年。逮捕時に薬物やっちゃってたこともあって、思わぬ長旅になってしまいました。グループでは億単位で稼いでましたけど、自分の手に乗せたのは5本くらいかな。役割は番頭。まぁグループ統括部長みたいなものです。

B 5本って5000万円ですよね。それはすごい。僕は全然、いわゆる受け子です。実際に人の家までお金をもらいに行きましたね。そこに警察がいてお縄です。下っ端ですし、初犯だったので2年弱ですみました。それでもつらかったですが。

C 自分は懲役6年ですね。営業やってました。今は飲食店を数軒経営しています。

D それは、詐欺で稼いだ金が元手ってことですよね。自分なんて逮捕時に数千円しか持ってなかったです。今は生活保護者ってことで。僕は受け子や出し子の見張り役でした。懲役3年です。

B ちなみに、さっき記者さんも言っていましたけど、詐欺で取った金は稼いだとは言わないらしい。調書を巻く(確認し、指印を押す)とき、騙し取った金と言い直させられました。

C 詐欺で騙し取った金で飲食店経営。我ながらなかなか聞こえが悪い。

A でもまぁ、実際パクられたとき、稼いだ金をどう隠すか、守るかで、出所後の未来は決まるよな。

C それは間違いないです。みんな被害者に弁済すると情状酌量というか、裁判での心証がよくなるからと、せっかく貯めた金をうっかり吐き出してしまう。でも、今、詐欺の罪は重いから、基本、実刑は免れないですからね。金は隠し通したほうがいい。

A その通り。懲役行って、金まで取られてじゃ、割りに合わないだろ。

B お巡りさんが激怒しそうな発言ですね(苦笑)。僕は初犯でしたし、受け子なんてパシリみたいな役だから、まさか実刑になるとは思ってもなかった。詐欺とは知らなかったと押し通せば大丈夫だからと。地元の先輩の口車に、まんまと乗せられてしまいました。パチンコ屋で、負けが込んでるときに5万渡されて、「ちょっと頼みがある」と言われまして。たばこでも買いに行くような感覚でピンポン押して、お婆ちゃんが出てくるはずが、お巡りさんが出てきました。

D 僕も似ています。僕は見張り役で、ターゲットのマンション近くのコンビニから、目当てのフロアをずっと見てたんですよ。雑誌を立ち読みしながら。このとき、僕の横で同じく雑誌を読んでいた短髪のいかついおじさんが刑事でした。チラチラ顔を上げて、マンションを見てたところで職質され、僕の携帯から取り子の携帯番号が出てきてしまった。

――AさんとCさんの逮捕時は、いかがでしたか?

A 俺は……グループのやつが、金をヌイてたんだよな。テメェでトバシの通帳用意して、稼ぎを横領していた。そのとき、キレちゃって。ヤキを入れたら、やりすぎちゃったんですよ。それでチンコロ(密告)されて、いろいろ出てきちゃったって感じでしたね。

C 分かります。捕まるときは、こんなもんかって感じですよね。自分は営業で、「もしもし」する役目だったんですけど。やっぱり同じ部屋に出入りするグループの一人が毎夜、豪遊してて。そこから内偵が入ってたんですよね。彼は日焼けして、地下格闘家だったのでガタイもよく、目立つんですよ。といっても、パクられた今だから言えるって感じで、そのときは、やっぱり僕も脇が甘かったですね。後の実況見分のときも、実は近隣の部屋から、ずっと電話が鳴ってる部屋で、おかしいといわれてたって、お巡りさんに聞かされました。

■仲間割れで殺人事件に発展することも!

――なかなか生々しい話が続きますね。Cさんは先ほど、お金は隠し通したほうがいいとお話していましたが、逮捕されても隠し通せるものなんですか?

C できなくはないってところですかね。同じグループの仲間に預けて、その仲間が使い込んでしまうなんて話もありますから。まぁ、そうなると仲間でもなんでもないわけですが。

A それは、振り込め詐欺の一つの“あるある”ですね。そこから殺人事件にまで発展してしまったり。

B 殺人事件ですか……。振り込め詐欺の現場で、そんなことあるんですか?

A (Bを見て)……。君、本当に何も知らないでやってたんだ? 無事で良かったね。パクられてから、その後にややこしい話は何もないでしょ?

B はい。ないです。結局、僕を誘った先輩も芋づるで捕まっちゃって、まだ服役しています。この人が帰ってきたら面倒なことがありそうですが、まだ6年も先なんで、とりあえず、あまり考えないようにしてます。

C 悪いことして困るのは、パクられたりするより、その手のシガラミが出てしまうことですよね。ところでAさんは、どうやってお金を隠しておいたんですか?

A 貸金庫……いや、あれは貸倉庫って言うのか。札束をパンパンに詰めた段ボールを数箱。嫁さん名義で借りた貸倉庫に預けておいた感じですね。

――奥さんだとさすがに使い込む心配はないですか?

A まぁ、女によると思いますよ。俺も「おまえも内偵対象だから、油断しないで、あまり倉庫には近づくな」って、釘を刺しておいたのも良かったのかな。けど、出てきてから「苦労かけたんだから尽くして」と言われて、もう嫌になるほど、金がかかる(笑)。

――では、Cさんはいかがですか?

C 僕はまだパクられる全然前の段階から、お金に関してはきっちり管理してました。ぶっちゃけ、お巡りさんに対する警戒心よりも、同業者に対しての警戒心のほうが強かったので。

D お金を管理するのって、何か特別な技みたいのがあるんですか?

C 何、そんな話、興味あるんだ? D君、今、何やってるんだっけ?

D だから生活保護を……。

A 本当か? 怪しいな。

D 僕の話はいいですよ。まず、Cさんの資金を守るためのノウハウを教えてほしいです。

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