大相撲九州場所開幕! 昇進基準から金銭事情まで「大相撲を10倍楽しむ基礎知識」の画像
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 知っているようで知らない番付の序列や昇進基準から豪快すぎる力士の日常まで。初心者も上級者も必読だ!

■白鵬と稀勢の里の回復具合が問題

 大相撲九州場所(福岡国際センター)が11月12日、いよいよ初日を迎える。「連続優勝を目指す横綱・日馬富士(33=伊勢ケ濱部屋)からは目が離せないな。問題は、白鵬(32=宮城きせ野部屋)と稀勢の里(31=田子ノ浦部屋)のケガがどこまで回復しているか。両横綱の成績いかんでは、またぞろ、“戦国場所”になるかもしれないね」(スポーツ紙相撲担当記者)

●横綱大関が関脇以下に食われれば混戦に

 どうやら、相撲人気に沸いた2017年を締めくくるにふさわしい熱戦が期待できそうだ。『スポーツ報知大相撲ジャーナル』編集長の長山聡氏が、こう続ける。「新入幕から3場所連続2ケタ勝利で小結に上がった阿武咲(21=阿武松部屋)や関脇の御嶽海(24=出羽海部屋)、前頭筆頭の貴景勝(21=貴乃花部屋)。このあたりが横綱大関を食って殊勲の星を挙げるようだと混戦になるでしょうね。そうなれば、平幕力士にも十分、優勝のチャンスがでてきます。前頭11枚目の朝乃山(23=高砂部屋)が、抜群の体格を生かして前半勝ち進めば、面白い存在になると思いますよ」

 このほか、昭和以降、最年長での再入幕を果たした安美錦(39=伊勢ケ濱部屋)や「最年長での大関昇進を狙う」と公言する関脇・嘉風(35=尾車部屋)のベテランコンビにも注目したい。

■九州場所にちなんだご当地ネタ豆知識

 九州場所の注目力士をまとめると、ざっとこんな感じだが、以下、大相撲を10倍楽しむための基礎知識や豆知識を紹介しよう。今場所は、九州で昭和32年に初めて本場所が開催されてから、60周年を迎える記念場所。まずは、その九州場所にちなんだご当地ネタから。

●幻の魚「アラ」は人気のバロメーター

 地元・福岡出身の元力士で、日本相撲協会の公認漫画家・琴剣氏によると、「九州場所といえば、アラのちゃんこ。玄界灘で獲れるクエをアラと呼ぶんです。11月が旬で身が引き締まって、とにかくうまい。ただ、アラは幻の魚で、滅多に獲れない。天然物は1匹20~30万円で、相撲部屋の後援会の方は“毎年11月になったら、うちが買うから”と予約して手に入れます。だから、すべての部屋がありつけるわけではありません。部屋のちゃんこ場の前に、差し入れされたアラ入りの発泡スチロールの箱が置いてあると、“ここは人気のある部屋だな”と分かります。アラは人気のバロメーターなんです」

●福岡といえば「お酒」も…

 ついで、福岡といえば、「♪酒は飲め~飲め~」(黒田節)というお国柄。「1991年には、対戦する力士が土俵に上がった際、酔っ払った客が土俵に闖入するというハプニングが起きたことがあるんです。控えの位置にいた旭道山(元小結)が機転を利かし、すかさず土俵に上がって酔っ払いに差し手を入れ、抱きかかえるように見事に寄り切って、事なきを得ましたけどね(笑)」(前出の長山氏)

●「力水」は九州産

 ところで、勝った力士が自分の次に土俵へ上がった力士へ、柄杓ですくって差し出す清めの水を「力水」というが、実はこれ、九州産なのだという。両国国技館で流れる『どすこいFM』のキャスターで、『「大相撲」知ったら面白すぎる70の話』の著者でもある下角陽子氏が、そのわけをこう話す。「本場所で使われる力水は、福岡県にある米菓製造会社『もち吉』のもの。餅やあられの製造に使用していた福智山山系の地下水を商品化したもので、1991年から、相撲好きな社長さんが無償提供しているんです。九州場所では、『力水』のペットボトルが来場者に振る舞われます」

●九州場所では座布団が乱れ飛ばない!?

 また、九州場所では座布団が乱れ飛ぶことがない。「座布団同士をマジックテープのようなものでつなぎ合わせ、飛ばないようにしています。お客さんにとって座布団投げは醍醐味ですが、後で座布団を回収するのは大変なんです。そもそも、土俵の上には神様がいますから、相撲協会としても、やめてほしいという思いがあります」(前出の琴剣氏)

 63連勝中の白鵬が連勝記録を当時、平幕だった稀勢の里に止められたのは10年の九州場所だったが、その際、ファンが座布団投げの代わりにしたのが“万歳”だったという。

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