■吉川晃司が氷室京介を“路上のプロ”と!

 ここからは、日本のロックスターへ少し目を向けて見よう。「有名人で喧嘩が強いと言えば、まず浮かぶのは、氷室京介さんですね。特にBOOWY全盛の頃は、本当に最強と言って過言ではないと思う」

 こう話すのは、音楽雑誌の編集者である。「BOOWYのもう一人のカリスマ布袋寅泰さんと、吉川晃司さんのユニットがCOMPLEXですけど、まず、この吉川さんが、そもそもかなりの豪の者なんです。水球の全日本高校最優秀選手で、水中ならヒクソン・グレイシーやジャイアント馬場にも勝てると、彼が発言していたのは、有名な話。他にも武器を持った複数の人間に絡まれて返り討ちにしたとか、武勲の誉れ高い人なんです。前田日明さんと喧嘩したなんて噂もありますし。前田さんには負けたらしいですけど、普通に考えても勝てるわけがない(笑)」

●前田日明と喧嘩すること自体、普通じゃないが…

 もちろん、これは随分昔の話。だからこそ、まだ前田日明にしても若いわけで、この話自体、狂気の沙汰に近いエピソードだが……。「その吉川晃司さんが氷室京介さんを“ダメだよ、あんなの、路上のプロだもん”と評したことは、バラエティ番組で紹介されたことがありますよね。“氷室京介、どんだけ?”って感じじゃないですか(笑)。実際、布袋さんも、若い頃の氷室さんを“ただただ怖かった”と振り返ったり、エピソードを数えたらキリがない」

 今やロサンゼルスに住むロックスターだが、BOOWYの結成時の名は「暴威」。出身の群馬県高崎時代は暴走族だったという氷室京介のルーツを象徴する名前だ。

■勝新太郎の兄・若山富三郎が最強

「今の人にどこまで通じるのか分かりませんが、若山富三郎さんが最強だと思いますね。愛嬌があって優しい人ですが、怒らせたら本職顔負けの迫力ですよ」

 こう話すのは、元映画雑誌編集者。若山富三郎は、言うまでもなく勝新太郎の兄である。「だいたい、菅原文太さん、山城新伍さんクラスが若い衆でしょ。特に任侠映画全盛の東映なんて、本職の方々が高倉健さんをアニキと呼んだり、鶴田浩二さんが襲撃されたときだって、実行部隊が反社会組織の若頭ですからね。その鶴田をアニキと慕ったのが若山富三郎」

●東映移籍当時の菅原文太に…

 出てくる名前の威光に思わず、たじろいでしまう。エピソード自体が現実ではなく、映画のようだ。「菅原文太さんの東映移籍当時、若山さんは“おまえは安藤んとこの若い衆か”と尋ねたという有名なエピソードがありますが、その安藤昇さんにしても、役者になる前は組長。最強の喧嘩師、花形敬の親分と考えれば、この若山さんの言葉の重みが少しは分かるでしょ(笑)?」

 喧嘩の具体的なエピソードを聞かずして、ただただ聞き入ってしまう。まだ血気盛んな頃の、昭和の銀幕のスターたちの迫力に満ちたやり取りの一例である。

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