下関マグロ「消えゆく“町中華”をしっかり味わっておきたい」麻美ゆまのあなたに会いたい!の画像
下関マグロ「消えゆく“町中華”をしっかり味わっておきたい」麻美ゆまのあなたに会いたい!の画像

 前回に続いて、エッセイストの下関マグロさんとの対談・第2回目です。町中華に造詣の深いマグロさんと私は、下北沢の「中華丸長」にやってきました。さっそく、レバー野菜炒めにアジフライ定食、餃子、広東麺、ワンタン、(生姜焼きの)焼肉定食などを注文して、ガツガツ食べました。だけど、庶民の味・町中華さんは、どんどんなくなっているとか……。

■東京オリンピックに向け、昭和の風景も消えていく…

ゆま「次は餃子!」

下関「お、餃子のタレは何タイプですか?」

ゆま「私はお酢と胡椒。それにラー油は一滴だけ」

下関「通ですね~。実は、この餃子のタレの作り方も十人十色で面白いんです。全員が違うんですね。私は酢にラー油、少量のお醤油を入れるタイプです」

ゆま「個性があるんですね~。町中華の良さって、一人で入っても気楽に食べられるし、大勢で食べに来ても楽しいところですよね」

下関「まさに、その通り。中華といっても和食も洋食もあり、小さな子どものいる家族でも入りやすい」

ゆま「でも、そんな町中華が最近、どんどん減っているんですよね?」

下関「ええ。私が知る限り、首都圏でも1年に10~20軒は閉店しています」

ゆま「お客さんは入っているのに、なぜですか?」

下関「一番の問題は後継者がいないことです。お子さんがいたとしても、店を継がない。たとえ、同じ料理屋であっても、違ったジャンルに形態を変えたりしてしまうんです」

ゆま「そっかあ。言い方はアレだけど、やっぱり町中華は時代遅れなのかなあ」

下関「あと、都内では再開発が進み、昔ながらの街並みがどんどんなくなっているんです。再開発と同時に店も立ち退き、そのまま復活しないケースが多いですね。2020年の東京オリンピックまでにはかなりなくなっていると思います」

ゆま「東京五輪に向けて、昭和の風景も次々に消えていくのかなあ……」

下関「ええ。“五輪までは”という思いで頑張って続けておられる高齢夫婦の店もありますから、2020年で一気になくなってしまうかもしれませんね」

■麻美ゆまが“町中華探検隊”の一員に!

ゆま「そんな中、マグロさんは“町中華探検隊”なるものを結成されたんですね」

下関「僕の相方である北尾トロが隊長となり、町中華好きの人々が集まって週に一度、町中華を食べに行くという活動をしています」

ゆま「いいですね! あのぉ、私も探検隊の一員に入れてもらいたいんですが」

下関「おお! ぜひ。じゃあ、今日から麻美さんも町中華探検隊の一人です」

ゆま「やったあ! 行く店は前々から決まっているんですか?」

●探検後は喫茶店にてコーヒーで“油流し”

下関「いえ、店は決めずに“行く町”だけを決めます。最寄りの駅で集まって、あとは、それぞれが自由行動。その町にある町中華に単独で入っても良し、何人かで食べに行っても良し。そして、探検後は喫茶店に集まって、コーヒーで“油流し”をしながら、“こんな変わったメニューがあった”、“いやあ、まずかったよ~”などと、探検報告をしあうんです(笑)」

ゆま「楽しそう! そうやって町中華探検をすることで、町の中華屋さんを少しでも残していきたい、という考えなんですね」

下関「うーん。食べ支えたいという思いはありますが、時代の流れにはかないません。やがて消えていく文化だとは思っているんです。だからこそ、今のうちに町中華を、しっかりと味わっておきたいという気持ちのほうが強いですね」

■町中華の“妄想チャンポン”!?

ゆま「そうなんですね。私も探検隊として、消えゆく町中華を、しっかり味わっておきたいと思います。あっ、広東麺がきました……ええ!? 何、これ? ゆで卵だ。私の想像していた広東麺と全然違う! もっと五目ソバ的なイメージでした」

下関「これも町中華なんです。たとえば、“チャンポン”なんかも同じで、本場・長崎のチャンポンとは似ても似つかないものが多い。その理由を、ある町中華の店長に聞いたところ、“チャンポンというものが当時流行っていると聞いたから、俺流で想像して作ってみた”と(笑)。つまり、チャンポンをまったく知らないまま、言葉のイメージで独自のチャンポンを作っている店が多いんです」

ゆま「アハハ。妄想チャンポンだ!」

下関「そうそう。味噌ラーメンも同じで、昔、味噌ラーメンブームがあったときに店主が勢いで作ったもので、ほとんどラーメンに味噌を溶いただけの、味噌汁のようなラーメンもありますからね。でも、町中華はそれでいいんです」

ゆま「面白い(笑)」

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