反抗期は悪くない!? 親が知るべき特徴と対処法の画像
反抗期は悪くない!? 親が知るべき特徴と対処法の画像

 子どもが成長する過程で必ず通過しなければならないのが、“反抗期”と呼ばれる時期だ。あまりの激しさに疲れはてる親もいれば、覚悟をしているのにまったく反抗する兆候が表れないと心配する親もいる。あったらあったで、なかったらなかったで悩んでしまうのが反抗期。そこで今回は少しでも悩ましい問題を解決すべく、親が知っておくべき反抗期の特徴と対処法をまとめてみた。

反抗期の定義とは?

 そもそも、反抗期とは一体なんなのだろうか? まずは辞書から定義を引用してみた。

【反抗期】

 精神発達の過程で成熟に先立ち、他人の指示に抵抗を示したり他人との社会的交渉を退けたりして拒否的態度や行動を示す期間をさす。幼児期に親の指示に反抗したり強情を張ったりする時期を第1反抗期、青年期の初めないしそれに先立ってふさぎ込んだり、また人に逆らって乱暴したりする時期を第2反抗期と呼ぶ。(ブリタニカ国際大百科事典)

反抗期があるのは悪いことではない!

 なるほど、反抗期とは拒否的な態度や行動を示す期間のことで、第1反抗期と第2反抗期があることは分かった。もう少し知るために別の辞書も見てみよう。

 人間の成長・発達過程には、親、年長者あるいは既成の価値体系を拒絶、否定、無視し、激しい怒りの感情を表出したり、破壊的・暴力的な行動をひきおこしたりすることが目だつ時期がある。この時期を反抗期というが、否定的行動が多彩に現れるので否定期と呼ぶこともある。いずれも自我意識の発達に伴う自立・独立の欲求の高まりがその背後にある正常な現象であり、人格発達上重要な意義をもつものである。(世界大百科事典)

 そう、反抗期とは子どもが大人へと成長するための自我の発達にとって必要不可欠な現象であり、いたって正常な成長の結果に他ならない。反抗期が来るのは決して悪いことではないのである。

反抗的態度を作る原因

 では反抗期の原因や特徴には、どんなものがあるのだろうか? 「年齢による違い」と「性別による違い」の2つに分けて、具体的に紹介していこう。

●年齢による違い

*第1反抗期

 2歳ぐらいのときに現れる、いわゆる“イヤイヤ期”のこと。とにかくいうことを聞かず、好き勝手に行動し、思い通りにならないときは泣き叫んだりして、だだをこねる。卒乳して母親から離れることで、人間としての自我が芽生えはじめるのが原因とされている。

*中間反抗期

 中間反抗期は、第1反抗期と第2反抗期の間にある反抗期のことで、小学校に入学した後に起こるとされている。中間反抗期と第二反抗期の一番大きな違いは、“親への甘え”があるかどうかである。中間反抗期においては、口答えをしながらもまだまだ親に甘えることが多い。

*第2反抗期

 いわゆる“思春期”における反抗期のことで、親に甘えることを徹底的に嫌うようになる。人間としての自我の独立を求めるのが原因とされている。第2反抗期では心理状態が不安定になりやすく、自分で自分がコントロールできないという状況に陥ることも多い。

●性別による違い

*男子の場合

 母親に対しては強く反抗するものの、父親に対しては意外なほどに従順であることが多い。これは赤ちゃんのときから最も身近な存在だった母親から、自立したいという欲求が強く発現するためだといわれている。また男子の場合は言動が乱暴になるという特徴があり、「うるせえ、クソばばあ」「ウザい」などといった、会話を打ち切るような暴言も多く見られる。

*女子の場合

 父親を毛嫌いするケースが多く、「将来はパパと結婚する」といった発言を無邪気に信じていた父親は愕然とすることもある。これは一人の女性として精神的に成長していく過程で、一番身近な異性である父親を男性として意識し始めるためである。また一般的に女子は、男子より精神的に成熟するのが早いため、反抗期も早く始まる傾向にあるとされている。女子の反抗期の特徴は口が達者になることで、かなり早い段階で大人と対等に口論できるようになることもある。

*男子と女子に共通の特徴

 男女に共通する反抗期の特徴は親に対する口答えが増えること、異性の親に対して強く反抗する傾向があることなどが挙げられる。

小学生の反抗期の特徴

 小学生になると少しずつ論理的な思考ができるようになるため、自分の意志が言動に表れるようになる。つまり小学生の中間反抗期は、人間としての自我が発達していく証拠なのである。

●小学校入学まで

“イヤイヤ期”の名残で、親が過度に干渉すると拒絶反応を示すことがある。絶対に子どもに任せておけないこと以外は、自分の力でやらせてあげることも大切だ。

●小学校低学年(1年から2年)

 保育園や幼稚園を卒園して小学校に入学すると、家庭中心の生活から学校中心の生活へと変わっていく。家族以外の人たちがいる社会で生活することで、子どもは多くのことを学び、自立しようという気持ちが一気に強くなる。そのため、次第に親に対する口答えが増えてくる。親としては物心ついてから初めての反抗期となるため、「自分の育て方が悪いのか…」などと考えてしまいがちだが、自立のための健全な反応であるため、特に心配はいらない。

●小学校中学年(3年から4年)

 この時期から人間としての本格的な自我が見えてくると思ってよい。まだまだ未熟であることは間違いないのだが、子ども扱いされるとイライラを見せることもある。親としては、できるだけ本人の意志を尊重し、子どもが自分で何かを考えて挑戦しているときには、そっと後ろから見守る姿勢を心がけたい。

●小学校高学年(5年から6年)

 10代に入ると、いよいよ第2反抗期のスタートが近づいてくる。しかし、この年齢ではまだまだ「親に見てほしい」「甘えさせてほしい」と思っていることが多い。また、この時期から友達同士で集まって遊ぶ集団行動が多くなるといわれている。子どもは集団の中で他人と自分を比較しているうちに、劣等感を抱くようになることがある。自尊心の低さは反抗の強さにも影響するため、あまりにも子どもの反抗が強いときは、その裏にある真意を見極めてほしい。

中学生の反抗期の対処法

 中学生になると第2反抗期に突入する。この思春期の反抗においては、喫煙や飲酒、万引きや暴力、薬物の使用など、言動が反社会的な方向に進むこともある。親には「元気でいてくれればそれでよい」ぐらいの気持ちで子どもの自立を妨げないようにしつつ、悪い道に入りそうになったらきちんと叱るといった適切な対応が求められる。

●中学生男子の反抗期の特徴

 親に手を出したり、家の壁を殴ったり、ものを壊したりすることがある。子どもの力はどんどん強くなってくるため、対応するときは注意したい。特に母親が相手をする場合は、本当に危険なこともある。変に対抗しようとせず、しばらく放っておくのがいいだろう。

●中学生女子の反抗期の特徴

 男子のように暴れることはないが、部屋に閉じこもって親からの問いかけをとにかく無視することがある。親が子どもの気分に合わせたりすり寄る必要はないが、様子を見ながら話題を変えるなどコミュニケーションを取るための工夫はしたい。

親が原因かも!? 危険な3タイプ

 反抗期にはもちろん個人差があり、その激しさや長さは親に左右されることも多い。子どもの反抗期を悪化させる危険性を持っている親、そんな親に育てられた子どもには、どんなタイプがいるのだろうか?

●親が過干渉なタイプ

 親が世話を焼きすぎてしまうと、子どもの依存心は強くなり、幼児的なふるまいが抜けなくなることがある。一見すると従順で育てやすい子どもに見えるが、自発的な行動ができなくなり、消極的な性格になることもある。

●親がひたすら甘やかすタイプ

 親がいいなりになってしまうと、子どもは自分の主張が通らないとキレたりする自己中心的な性格になることがある。人に従わず、無責任な態度を示し、暴力をふるうなどの特徴も見られる。

●親子の関係が薄い無関心タイプ

 親が無関心な態度を取り続けると、子どもは神経質でデリケートな性格になることがある。不安感や劣等感を持つことが多く、情緒不安定になりやすい。

子どもが万引き!そのとき、親はどうすべきか

 中学生の反抗期には、親のお金を盗む、万引きするなど金銭絡みの問題も起こりやすい。このような問題を引き起こす原因には、親からの愛情が十分に感じられないため飢餓感を覚えているケースもあれば、友達に仲間外れにされないようにしかたなくやっているケースや「悪い=かっこいい」という認識を持って、親や世間に対する反発心を満たそうとしているケースなどもある。

 しかし理由がなんであれ、親としてきちんと向き合って、その後エスカレートしないような対応をしたい。事実が明らかになったときに、あたふたして、「おまえは犯罪者だ」「恥ずかしくて外を歩けない」「もう面倒は見きれない」などと突き放すような発言をしてはいけない。やってしまったことを冷静に受け止めたうえで、良い機会だと捉えて今後について徹底的に話し合ってみよう。親子の信頼関係さえ崩れなければ、大半は常習化しない。

反抗期の子どもに親が取りがちなNG行動

 反抗期の子どもと生活するのは、決して簡単なことではない。親も人間だから、子どもが反抗期の真っ最中だと認識していても、ついついふさわしくない行動をしていることもある。自分の対応に問題はないだろうか?

●感情的になってしまう

 ついカッとして瞬間的に「何やってるんだ!」とか「もういい加減にしなさい」と子どもの主張を無視して頭ごなしに怒ってしまうことがある。また「メシがまずい」とか「うるせー、クソばばあ」などといわれたときに、売り言葉に買い言葉で「それなら食べるな!」とか「あんたこそクソガキだ」などと返してしまうこともあるかもしれない。

●オロオロしてその場限りの対応をする

 子どもの反抗的な言動にビックリしたり、ショックを受けて動揺すると、どうしていいか分からなくなってオロオロした態度を取ってしまう親は多い。また子どもの顔色をうかがいながらコロコロと態度を変えて、その場しのぎをしてしまうこともある。

●子どもに上から目線で接して謝らない

 親はどうしても「自分は教える立場だ」という意識が強くなりがちで、つい「早く寝なさい」「勉強しなさい」などと命令口調になってしまいやすい。また子どもに自分の間違いを指摘されても、素直に謝れなかったりする。

●交換条件を提示してやり過ごそうとする

 あまりにもいうことを聞かないときは、「おとなしくしていたら、今度ゲームを買ってあげる」といった交換条件を使ってコントロールしようとする。

●何をしても叱らない

 やってはいけないことをしているのに、子どもに嫌われるのが怖いのか、無関心なのか、まったく叱らない親が増えてきている。

●子どもの人格や存在を否定する

 あまりにもヒドい反抗期が続くと、絶望的な気持ちになり「おまえはダメな子」とか「あんたなんか産まなければ良かった」などと、子どもの人格や存在を否定するような言葉を言い放ってしまうことさえある。

反抗期の子どもに親が取るべきOK行動

 最後に反抗期の子どもを持つ親には、知っておいてほしい正しい対処法を紹介する。子どもとの接し方やトラブルの対応に悩んだり困ったりしている人はぜひ参考にしてほしい。

●いつも同じ態度をとる

 子どもがどんな言動をしても、親は首尾一貫した態度で接しよう。オドオドしたり日和見主義はやめて、いつも同じテンションでなるべく明るく話しかけるのがいいだろう。また、母親と父親の意見が違うと子どもが混乱してしまうため、今一度、子育てに対する考え方や価値観を夫婦で共有しておくのがおすすめだ。子どもが納得するかしないかは別の話だが、反抗期に際して両親が一致した対応をすることは、子どもの精神的な安定のために有効である。子どもは想像以上に親の姿をよく見ているため、いつでも冷静で公平な姿を見せるようにしたい。

●子どもの主張を受け入れ、正しいときは褒める

 反抗期は、自分の価値観は正しい、かっこいいと証明したい気持ちの発露である。もちろん間違っていることも多々あるかもしれない。しかし反抗期だからといって、子ども言動のすべてを否定するのではなく、子どもの主張を一度受け入れてみて、正しいところや良いところがあれば、きちんと認めて褒めてあげよう。これは子どもに自信を持たせるために大切なことだ。

●味方でいること、信頼していることを伝える

 子どもを一人の人間として認めて「信じているよ」と声をかけてみよう。何が起こっても親は信頼してくれて、味方でいてくれると感じられる子どもは、自信を持つことができ、自分の可能性を信じることができるようになる。

●ルールを破ったら叱る

 子どもを信じることは大切だが、すべてを子どもに任せっきりにするのではなく、やるべきことはしっかりやらせ、やってはいけないことはやらせないという毅然とした態度を示そう。ある程度のルールや決まりを作り、それから外れるようなことをした場合は、きちんと叱ることも必要なのである。

●適度な距離感をとる

 子どもの状態に応じて適切な距離感を取ろう。機嫌が悪いときは頭が冷えるまで放っておき、逆にサポートを望んでいるように思えるときは、そういってこなくても、さりげなく手助けしてあげたい。

まとめ

 子どもの反抗期に関して、親として知っておくべき特徴と対処法を紹介してきたが、親子の信頼関係さえあれば、反抗期を無事に乗り切るのは決して難しくないことがお分かりいただけたと思う。反抗期は人間が成長していく上での一つの通過点であると理解して、いつでも暖かく見守るスタンスをキープしたい。また反抗期は子どもの親離れであると同時に、親の子離れの時期であることも忘れてはいけない。子育ての最終段階に来ていると思えば、どんなに手こずらされても子どもへのいとしさが湧き、思いきり反抗期を楽しんでみようという気持ちになれるかも!?

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