天龍源一郎「引退後のことを話そう」“ミスタープロレス”独占インタビューの画像
天龍源一郎「引退後のことを話そう」“ミスタープロレス”独占インタビューの画像

 ミスタープロレスの現役最後の1年、“引退ロード”に密着したドキュメンタリー映画が発売。そこに映し出されていたのは、ボロボロの肉体にムチ打って、若いレスラーたちと限界を超えて闘う姿。そのとき、漢は何を思っていたのか? 知られざる“家族の絆”から現在の生活、プロレスへの熱い思いまで、魂の叫びを聞け!

■ドキュメンタリー映画は“涙腺崩壊”必至

 ミスタープロレス、天龍源一郎(67)が引退してから2年。40年に及ぶプロレス人生“最後の1年間”に密着した、ドキュメンタリー映画『LIVE FOR TODAY-天龍源一郎-』がブルーレイ&DVDで発売。ボロボロになった65歳の肉体を極限まで酷使しながら、全国で熱き戦いを繰り広げる天龍の姿は、プロレスファンならずとも“涙腺崩壊”必至だが、実は天龍自身も「映画を観るたびに泣いてしまう」という。

「自分の映画で、12回も観ているのに、不思議なことに毎回泣けるんですよ(笑)。たぶん、当時の感情を思い出して“ホロッ”とくるんでしょうね、情けない話ですが。見てほしいのは、辞めていくレスラーが自分の体にムチ打って戦う姿。男が金を稼ぐっていうのは、こういうことだってことを知ってほしいですね。それと家族。俺はこんなにも娘に励まされ、元気づけられてたんだとスクリーンを通して教えられました」

■愛娘と二人三脚

 映画では、天龍プロジェクト代表の愛娘、紋奈さんと二人三脚で歩む姿が印象的だが、実は、現役最後の1年までは違ったという。「プロレスは男の社会ですが、俺が“引退する”と話してから、娘も“私が守らなきゃいけない”と腹をくくったんだと思います。映画を観たら、ほとんど俺は紋奈のケツにくっついて歩いてましたからね(笑)。今も、マネージャーとして仕切ってくれてますよ。迎えに来て、俺は車の中で“今日何があるのか”を初めて知る(笑)。俺の好き嫌いも彼女は理解してくれてますから、俺が嫌う仕事は取らないだろうし」

■バラエティ番組でいじられるのが、今は最高

 引退から2年。リングが恋しくなることはないのだろうか。「全然思わないです。引退後、鍛錬してないことや気の緩みもあって、体にガタがきた。これではいけないと思って、体幹トレーニングを始めました。汗をかいた後に、うまいビールを飲むのが好きで(笑)。プロレスは腹いっぱいやりましたし、相撲とプロレスしか知らない両国大学を出た天龍が、バラエティ番組で国立大学を出てる人たちにいじくられるのが、今は最高の快感ですよ(笑)。中には“この野郎、ぶち食らわしてやろうかな”という人がいないわけじゃないけど(苦笑)、いろんな人に会えるのがうれしいんです」

●家族旅行なんて当たり前のことが新鮮

 “普通の生活”も楽しんでいる。「現役時代、女房に“あんたは24時間天龍源一郎だから、見ていても接していても疲れる”と言われましたよ。俺は“プロレスで食べてる以上、天龍源一郎という鎧は脱げない”と思ってた。そういう性格なんです。今は、女房が御朱印を集めるのが趣味で、誘ってくれるので一泊、二泊でのんびり旅行にも行きました。目的地に着いたら、女房は勝手に行って、俺は車の中で待ってるだけですけど(笑)。家族旅行なんて、普通の人には当たり前のことでしょうけど、俺にとっちゃ新鮮ですよ」

■ゲームやアニメのような技で限界を超えてしまう

 では、自身が去ったプロレス界をどう見ているのか? ここ最近、痛ましい事故が多発しているが……。「お客さんが“もっともっと”と求め、レスラー自身“もっとできる”と勘違いして、ゲームやアニメのようなバーチャルな技に走って、限界を超えてしまうところがありますよね。確かに、バーチャルと現実とのギャップがあると楽しくない。だから、あえて挑戦するんだろうけど。でもね、俺は“危険だ”とヒヤヒヤする技じゃなくても、お客さんが身を乗り出してリングの中を見なければならない技で、スリーカウントを奪うこともできるよと言いたい。もっとリングの中を凝視させるようなプロレスもあるよってね」

●今の大相撲界は不本意

 またOBとして、上位陣の欠場が多い相撲界をどう考えているのか?「力士はデカくなりすぎて、自分の体を持て余してますよ。ダンプにバイクのタイヤをつけたって、パンクをするのは当たり前。それと同じことです。昔より圧倒的にヒザや腰のケガが多く、技の攻防がなくて、大型力士が圧倒的な力で勝つのが主流。技の多彩な宇良が注目され、求められるのは、そういうこと。昔はああいう力士がいっぱいいましたよ。だから、今の相撲は俺にとって不本意ですよ。でも、お前も現役時代、突っ張りしかしてなかったじゃないかって言われそうだけど(笑)」

■“いつも一生懸命に生きてほしい”

 最後に『週刊大衆』読者に熱いメッセージをいただいた。「言葉にしたら“誰かがどっかで見ているから、いつも一生懸命に生きてほしい”ということ。俺は不器用だからプロレスしかできなかったけど、一生懸命に戦ってきたら、周りにいる人が、こんな俺を面白がって、今もちょっかいを出してくれる(笑)。人生、味なものですよ」

 新たな戦場でも、存在感を見せるミスタープロレス。現役最後の1年を、その目で確認してほしい。

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