プロ野球がセ・パ2リーグに分立して67年経つが、新人王のポジションがともにショートだったのは初めてである。パは埼玉西武の源田壮亮。セは中日の京田陽太。「即戦力」との期待に恥じない活躍だった。

 まずは源田。143試合フルイニング出場を果たし、打率2割7分、57打点、37盗塁。ゴールデングラブ賞8回の辻発彦監督はキャンプの時点から「源田を育てる」と明言していたがよくドラフト3位で獲れたものだ。足の速さなら京田も負けてはいない。23盗塁はリーグ3位。打率2割6分4厘、36打点とバットでも貢献した。若返りを図るチーム方針とも、ぴたりと合致した。

 ショートといえば、内野の要である。かつてピッチャーを除き、「運動能力の一番高い子はショート」と相場は決まっていた。走力と肩に自信のある若い間はショートでプレーし、何年か経ってからサードやセカンドに転向する例は数多くあるが、その逆は極めて少ない。セカンドでゴールデングラブ賞を6年連続で受賞してからショートに転向した中日・荒木雅博は、「最初のうちはファーストに送球が届かなかった」と苦笑していた。

 源田と京田が類稀なる好素材であることは言を俟たない。だが、難度の高いポジションで2人同時に受賞した背景には、何か特別な理由が存在するのか。1974年に駒澤大からドラフト1位で広島に入団、大型ショートとして鳴らした木下富雄は「“ゲッツー崩し”が禁じられたのが大きい」と語っていた。メジャーリーグにならい、NPBでも今年から走者が明らかに野手を狙ったスライディングは反則行為と見なしている。元ショートの球界OBは語る。「昔はルーキーのショート、セカンドに対しては“ナメんなよ”とばかりに危険なスライディングを仕掛ける選手が多かった。アマはそこまではやってこないからケガをした選手も少なくなかったんです」

 来季は千葉ロッテ藤岡裕大、オリックス福田周平らに期待がかかる。

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