「いとこで結婚」はできる!? 定番トラブルと、知っておきたい対処法の画像
「いとこで結婚」はできる!? 定番トラブルと、知っておきたい対処法の画像

「初恋の相手はいとこだった」という人はいないだろうか? いとこは兄弟姉妹より他人だが、親戚だから普通の友達よりはずっと親密という不思議な存在である。年齢が近いことも多いため、他の親戚と比べても、特別な意識を持ちやすい対象でもある。高嶋政伸と山口智子が出演したドラマ『いとこ同志-Les Cousins-』(1992年/日本テレビ系)のように、ラブストーリーが展開されてしまってもおかしくはない。そこで今回は、いとこ同士の恋は実って結婚することができるのか、いとこ同士のカップルだからこそ起こりうるトラブルや対処法を調べてみた。

■いとこと自分はどういう関係?

●いとこの定義

 いとことは、父および母の兄弟姉妹の子どものことである。漢字では年上の男のいとこを「従兄」、年上の女のいとこを「従姉」、年下の男のいとこを「従弟」、年下の女のいとこを「従妹」と書く。両親は1親等、祖父母は2親等、両親の兄弟は3親等になり、自分といとこの関係は4親等にあたる。

●いとこ婚について

 いとこ婚とは、いとこ同士の結婚のことである。日本の民法734条で結婚が禁止されているのは3親等までのため、法律上は4親等であるいとこ同士の結婚は可能である。

 実際に日本史上には多くのいとこ婚が見られる。古事記や日本書紀の神話時代から平安時代、室町時代、江戸時代においても、いとこ婚がタブー視されることはなかった。むしろ、財産を分散させることなく親族を維持できるため、頻繁に行われてきたといってもいいだろう。また時代によっては身分違いの婚姻が難しかったため、必然的に自分と近しい肉親間での結婚を進めざるを得なかったということもある。

 世界的に目を向けてみると国や文化などによって、いとこ婚の可否は大きく異なっている。たとえばアメリカでは禁止の州と制限がある州、まったく制限がない州が混在しているし、多宗教国家であるインドでは一律にいとこ婚の可否を決定する法律は存在しない。一方、イスラム圏では地域によって違いがあるものの、血縁が濃いことが好ましいと見なされていとこ婚が喜ばれる国があるし、ヨーロッパの王族や貴族の間では、現在でもいとこ婚が普通に行われている。

■恋に落ちてしまったら……いとこ婚への道

 日本ではいとこ同士が結婚できることは分かった。では、いとこ婚にはどんなメリットやデメリットがあるのだろうか?

●いとこ婚のメリット

*幼少時から知っているから気心が知れている

 親戚として育ってきたいとこ同士は、幼い頃からつきあいがあるため、お互いに気心が知れていることが多い。長い時間をかけて理解し合えているし、共通した思い出も豊富にある。幼なじみと同じような感覚で仲の良い友達のような夫婦になれるだろう。

*親戚づきあいが楽チン

 いとこ婚だと親戚が増えることがないため、他人行儀になることがない。お互いの実家への行き来も気が楽だ。また妻にとっては、伯母(叔母)が姑になるため、改めて嫁姑問題などが勃発する可能性は低いし、夫婦喧嘩をしたとしても上手に仲裁してくれるだろう。

●いとこ婚のデメリット

*離婚したら気まずさ倍増

 一般的な結婚より親戚が密にかかわる結婚であるため、離婚すると、両家の関係に大きな影響が表れやすい。たとえば親戚の冠婚葬祭の際に、元妻や元夫本人はもちろん、相手の家族と顔を合わせなければならないので非常に気まずい思いをするだろう。

*やっぱり周りの目が気になる

 日本の法律でいとこ婚が認められているとは言え、周囲の目が厳しくなる可能性は否定できない。偏見や噂話にストレスを感じる性格だと、いとこ婚は大きなデメリットになるかもしれない。

●いとこ婚するなら……

 結婚を意識した2人に3つのアドバイスを贈りたい。

1)血のつながりを再確認しよう

 日本でいとこ婚できる条件は4親等以上離れていること、血族関係が直系ではないということだ。確実にいとこ婚を進めるために、今一度、血縁関係をしっかり調べておこう。

 

2)親や親族を説得しよう

 いとこ婚における一番の難関は、親や親族の反対を突破できるかどうかだ。親の立場になってみれば、自分の子どもの結婚相手が兄弟姉妹の子どもだったら、複雑な気持ちになってもおかしくない。

3)世間体や偏見への覚悟を決めよう

 いとこ婚では世間体や偏見に耐えるために「誰から何をいわれたって頑張れる」「この人と一緒なら乗り越えていける」といった揺るぎない覚悟が必要不可欠だ。

■意外と多い!? いとこ婚した有名人

 国内外ともにいとこ婚した例は数多い。ここでは、一部の有名人を紹介したい。

●日本人の例

若槻禮次郎(わかつきれいじろう):1866年3月21日生まれ。第25・28代内閣総理大臣。妻は養父の長女で従妹の徳子

岸信介(きしのぶすけ):1896年11月13日生まれ。第56・57代内閣総理大臣。婿養子として父方の従妹である良子と結婚した。第90・96・97・98代内閣総理大臣の安倍晋三(あべしんぞう)は外孫にあたる

佐藤栄作(さとうえいさく):1901年3月27日生まれ。第61・62・63代内閣総理大臣。婿養子として母方の従妹である佐藤寛子と結婚した。岸信介は実兄にあたる

菅直人(かんなおと):1946年10月10日生まれ。第94代内閣総理大臣。妻はエッセイストで主婦の伸子。結婚話になったときはいとこ婚となることから、両家から大反対された。しかしながら結婚の是非を問う家族会議を開いても、日本の核武装についての大論争が始まるなど本題はそっちのけとなってしまい、最後はみんな疲れて眠ってしまったというエピソードが残っている

岩瀬弥助(いわせやすけ):1867年10月6日生まれ。実業家。西尾鉄道初代社長、岩瀬文庫の創始者などとして有名。従妹にあたる叔父の長女と結婚

渋沢栄一(しぶさわえいいち):1840年3月16日生まれ。江戸時代末期から大正初期にかけて活躍した武士・官僚・実業家。多くの銀行や証券取引所などの設立・経営に携わった日本資本主義の父。最初の妻は従妹の千代

・佐藤彦五郎(さとうひこごろう):1827年11月14日生まれ。甲州街道の日野宿組合名主。新撰組の後援者で多摩地域の指導者だった。新撰組副長の土方歳三の姉で従妹のとくと結婚した

木暮実千代(こぐれみちよ):1918年1月31日生まれ。戦前から活躍した女優。初めてCM出演した女優として有名。夫は20歳年上の従兄・和田日出吉

酒井雄哉(さかいゆうさい):1926年9月5日生まれ。1980年に千日回峰行を達成した、天台宗の僧侶。従妹と結婚したが、新婚早々に妻が自殺した。そのあと得度し比叡山延暦寺に入った

芥川比呂志(あくたがわひろし):1920年3月30日生まれ。芥川龍之介の長男で俳優・演出家。妻は龍之介の次姉の長女で従姉にあたる随筆家の瑠璃子

富永一朗(とみながいちろう):1925年4月25日生まれ。漫画家。母方の従姉と結婚した。『お笑いマンガ道場』(1976~1994年/日本テレビ系)で人気を博した

依田勉三(よだべんぞう):1853年6月21日生まれ。明治時代に活躍した北海道の開拓者。北海道開墾のための「晩成者」を率いて帯広市を開拓した。妻は従妹のリク

●外国人の例

ジェームズ・ワット:1736年1月19日イギリス生まれ。発明家・機械技術者。蒸気機関で産業革命の進展に寄与した。妻は従妹のマーガレット・ミラー

アルベルト・アインシュタイン:1879年3月14日ドイツ生まれ。現代物理学の父と呼ばれる20世紀最大の物理学者。1921年にノーベル物理学賞を受賞した。受賞直後にノーベル賞をとって賞金を譲ることを離婚の条件としていた最初の妻と離婚し、4か月後に従姉のエルザと再婚した

チャールズ・ダーウィン:1809年2月12日イギリス生まれ。進化論で有名な自然科学者。従妹のエマと結婚し、10人の子どもを授かった

アンドレ・ジッド:1869年11月22日フランス生まれ。ノーベル文学賞を受賞した小説家。その作品には、従姉である妻・マドレーヌの影響が強く見られる

・エドガー・アラン・ポー:1809年1月19日アメリカ生まれ。世界初の推理小説『モルグ街の殺人』と著者として有名な小説家。24歳のとき、13歳だった従妹のヴァージニア・クレムと結婚した。しかしヴァージニアは貧苦の中で病死し、その2年後にポー本人も謎めいた死を迎えた

セルゲイ・ラフマニノフ:1873年4月1日ロシア生まれ。クラシックの作曲家・ピアニスト。妻は従妹のナターリア・サーチナ。その当時のロシアでは、いとこ同士の結婚には皇帝の許可証が必要だったため、伯母が許可証取得に奔走した

デヴィッド・リーン:1908年3月25日イギリス生まれ。映画監督。代表作に『アラビアのロレンス』や『戦場にかける橋』などがある。最初の妻が従妹のイザベル

■知り合いや親戚が「いとこ婚」ご祝儀の相場は!?

 いとこ婚とは言え、入籍する方法は普通の結婚と変わりない。しかし結婚式や披露宴に関しては迷うことが多いかもしれない。いとこ婚の場合、結婚式は身内のみで執り行うことが多いと言われている。また新郎新婦がいとこ同士であることを伏せてパーティなどを行うケースもあるようだ。

●いとこ同士の結婚式に招待されたら……

 いとこ婚では、結婚式に集まるのは自然と親族ばかりになることが多い。悩ましいのがご祝儀だろう。いとこ婚の場合、両家とも伯父(叔父)や伯母(叔母)が義父母になるため、彼らからのご祝儀は基本的にない。他の親族が家族で出席するときは、世帯主がまとめて渡すのが一般的で、ご祝儀の相場は5~10万円のようだ。独身の親族が一人で出席するときは3万円を包むのが一般的だ。

■まとめ

 いとこ婚でのありがちなトラブルと知っておきたい対処法をご紹介したが、いかがだっただろうか? 当事者でも親族でも友人や知人でも、ぜひ参考にして幸せな”いとこ婚”にお役立ていただきたい。

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