■G1マイルチャンピオンシップはエアスピネルに騎乗できず…

――もう、大丈夫! 先週、お約束した通り、なんとか「マイルCS」に間に合わせることはできました。「騎手生命に関わるケガなので、絶対に無理をしないように!」 担当医の言葉に素直に従って、騎乗したのは日曜日の2鞍だけ。それでも、戦闘態勢は十分に整っていました。違ったのは……乗り替わりで、エアスピネルに騎乗できなくなってしまったことです。

――いつか、この馬と。心に誓っていただけに、この知らせは、ショックでした。ただ、騎手は、騎乗依頼をいただいて、初めて成立する職業で、デビュー前から――引退するまで、ずっとお願いします。という騎乗契約はありません。

■ディープインパクトのようにデビューから引退まで騎乗は稀

 ディープインパクトのように、デビューから引退まで、他の誰にも手綱を渡すことなく、僕一人だけがその背中を知っているというのは、稀に見る僥倖。そのときのベストを求めて、乗り替わる、乗り替わられるというのが、当たり前の世界です。クサらず、慌てず、くよくよせず――ただ、前だけを向いて、次にチャンスをいただいたとき、今以上の騎乗ができるように、ひとり黙々と、準備をするのみです。

――また、頼むね。その言葉をかけていただけるように。

■競馬ブームの立役者となった“怪物”オグリに!

 それにしても、悪いことは重なるようです。瀬戸口勉先生の訃報は、心にズンと響くものがありました。競馬ブームの立役者となった“怪物”オグリキャップを育てた名伯楽なのに、寡黙で、いつも自分のやるべきことを淡々と、手を抜かず、一生懸命やっている……そんな先生の背中を思い出します。

「今度、ウチの馬に乗ってくれないか?」「もちろんです。ありがとうございます。で、どの馬ですか?」「オグリだよ」

――えっ!? 一瞬、自分の耳を疑いました。あの……オグリに……乗れる!? それほど、まさか!の騎乗依頼でした。先生が調教師を引退された後も、何度もオグリキャップ関連の式典でお会いして、オグリのことを話す先生は、本当にうれしそうでした。

――よろしく、頼むな。先生にかけていただいた言葉を励みに、これからも精進します。

■今週はダートG1チャンピオンズカップ!

 今週の競馬は、ダート日本一決定戦、G1「チャンピオンズカップ」(ダート1800メートル)。パートナーはアウォーディーです。前走、連覇を狙った交流G1「JBCクラシック」は、最後の直線で失速し、まさかの4着……。状態も良さそうだったし、まだ、余力もありそうだっただけに、納得のいかないレースになってしまいました。

――今度こそ! 人も、馬も、ここからが逆襲の時です。

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