■『宇喜多の捨て嫁』でいきなり直木賞候補に

『宇喜多の捨て嫁』(文藝春秋)は、初めての書籍で、いきなり直木賞候補になったんですけど、本になるまでに2年かかってるんです。だから、これでは作家はやっていけんなぁと思ったんです。それで、出版と同時に就職活動を始めたんです。具体的には、専門学校に通い始めてDTPの勉強をしたんですよ。そしたらその勉強中に、「直木賞候補になりました」と連絡があって、「えーっ」って驚きましたね。しかも、職業訓練学校の卒業式の日が、直木賞の選考日で。これは受賞するやろとストーリーを頭の中で描いてましたら、そううまくいきませんでしたね(苦笑)。

 普段、原稿は昼間に書いてます。朝8時とか9時に起きてね。いつ仕事がなくなっても、社会復帰できる準備はしています(笑)。

撮影/弦巻勝

木下昌輝(きのした・まさき)
1974年、奈良県生まれ。近畿大学理工学部建築学科を卒業し、ハウスメーカーに勤務後、フリーライターとして活動する。2012年に発表した『宇喜多の捨て嫁』が第92回オール讀物新人賞を受賞し、直木賞候補にも選出。その後、『人魚ノ肉』、『天下一の軽口男』、『戦国24時 さいごの刻』などを上梓し、今年2月発売の『敵の名は、宮本武蔵』は山本周五郎賞、直木三十五賞、山田風太郎賞の候補作となる。

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