■ムードが変われば大躍進も!?

 さて、来季の主なコーチ人事を見てきたが、その陣容を見れば、おぼろげながら、来季の展望が見えてくる。大まかに言えば、優勝チームから大量に流出して、最下位チームに大きなテコ入れがされたわけだが、これによって、2018シーズンの勢力図は、はたして変わるのだろうか。「確かに、コーチ陣の変動はチーム力に大きな影響を与えますが、来季に、いきなり順位が大きく変わるということは考えづらい。いいコーチが流出しても、ソフトバンクと広島の選手層は分厚いままですし、ロッテとヤクルトの駒不足も変わりませんからね」(ベテラン野球記者)

 しかし、一概にそうと言い切れないのがプロ野球である。中には、こんな声も。「チームの雰囲気が変わることで勢いがつくことも考えられます。そういった意味で、今年のロッテはムードが悪かったですからね。今季まで選手として在籍していた井口監督は、それを熟知しているはずですし、選手たちからの人望も厚かった。その彼が気心の知れた仲間を迎えた新体制では、ガラッと雰囲気が変わるでしょう。今季も、エース・石川歩の乱調さえなければ、こんな順位じゃなかったはずですから、来季は分かりませんよ」(前出のデスク)

 また、来季はまだでも、数年後となれば話は別。「ヤクルトがチームの底上げに力を入れようとしているのは、明らか。宮本ヘッドが守備の鬼であるのに加えて、攻と走における広島野球の心臓部を手に入れたわけです。投に関しても、今季は巨人でブルペン担当を淡々とこなした田畑一也投手コーチを迎えていますから、いずれ変化は見えてくるんじゃないか」(前出のベテラン記者)

■巨人の二軍の陣容は12球団一

 その傾向は、実は巨人にも見られる。「尾花氏を放出したわりには、今季の不振のA級戦犯とも言える村田真一ヘッドは留任したり、古株の吉村禎章氏が入閣したりと、迷走ぶりがうかがえますが、二軍に関して言えば、川相昌弘氏を三軍監督から昇格させて、新たに小谷正勝、内田順三の両コーチを迎え入れるなど、育成に定評のあるコーチで固めているんです。二軍の陣容は12球団一と言える」(前同)

■阪神タイガースは掛布雅之の穴が大きい

 その反対なのが、阪神だ。「何しろ、育成のプロだった掛布氏の穴は大きい。代わりに二軍監督となるのが矢野燿大コーチなんですが、彼は金本監督の懐刀でしたから、金本監督は参謀を失うことになる」(同)

 この“大移動”が、来季以降のプロ野球をどう変えるのか、まずは各コーチたちのお手並み拝見といったところだろう。

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