12月10日に香港のシャティン競馬場で行われた香港国際競走を取材してきた。競馬評論の観点からも興味深く、また、予想のヒントにもなるものをいくつか見つけることができた。その最大のものは香港ヴァーズだ。ハイランドリールが優勝し日本のトーセンバジルが3着に入ったのだが、そこでポイントとなったのが「番組選択の正しさ」と「余裕あるローテによる立て直し」だったと思う。

 ハイランドリールはジャパンCに出走せず香港に直行したが、これは相手関係と自身のコース適性を考えると妥当だったろうし、BCターフの内容が案外だったことを考えると、ジャパンCを使っていたら、いわゆる「虻蜂取らず」になったかもしれない。トーセンバジルも同様で、多くの馬がダメージを負った天皇賞(春)の後、新潟記念まで間隔を空けたこと、京都大賞典の後に距離不足の天皇賞(秋)を使わずに香港まで待機したことが、好結果につながったと思う。

■中山巧者=その年の中山G2で好走した馬

 さて、ここからが有馬記念の予想である。「番組選択の正しさ」は私が毎年有馬記念予想に適用しているところだ。強さというよりは適性の問題で、過去ずっと「中山巧者=その年の中山G2で好走した馬」を重視してきた。東京と中山で要求される適性の違いが、穴馬券を生んできたからだ。

 今年はシャケトラが日経賞を勝っている。オールカマーを勝ったルージュバックは、もともとは中山を避けていた馬だし、同レースのようなイン突きの競馬は再現性が低いだろう。ただ、シャケトラはダメージの大きかった天皇賞(秋)の後、ジャパンCも使っている。そこで、同レースをパスした、今年の中山記念2着馬・サクラアンプルールが浮上してくる。

 もう1頭、G2勝ちでないがG3の中山牝馬Sを勝ったトーセンビクトリーも少し気になる。有馬記念で複穴をあけたトゥザグローリーやトゥザワールドの全妹で、初距離ではあるが、むしろ適性面からは楽しみだ。

 香港の結果に学ぶならサクラアンプルールだが、ここではひとまず◎シャケトラ以下、○サクラアンプルール、▲トーセンビクトリー、★キタサンブラック、△シュヴァルグラン、△ルージュバック、△レインボーラインのシルシにしておく。ただ状態面の問題は重要なので、最終的な判断は当該週の追い切りまで保留し、場合によってはシルシの入れ替えも要検討だ。

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