■陸上イージスがバージョンアップ
では、自衛隊は、どのように“バージョンアップ”されることになったのだろうか。以下、見ていこう。まずは、2基の導入が閣議決定された「陸上イージス(イージス・アショアともいう)」から。この迎撃ミサイルシステムは、北朝鮮の弾道ミサイル防衛の中核を担うことになる。「現在は海上のイージス護スタンダード衛艦から発射されるSM3によって、弾道ミサイルを迎撃する戦術が採用されています。イージス艦パックが撃ち漏らしたら、PAC-3が控えているため、“2段階の迎撃システム”とされてきました。しかし、陸上イージスを配備すれば、3段階の迎撃態勢が整うわけです」(前出の井上氏)
政府はすでに、来年度予算に陸上イージス導入の調査費用等を計上している。「陸上イージスの導入は23年度とされていますが、前倒しになる可能性もあります。設置される候補地も確定しており、日本海側の秋田市(秋田県)と萩市(山口県)が有力視されています」(全国紙防衛省担当記者)
■SM3もブロック2Aを導入
イージスシステムに搭載される迎撃用のSM3も、現在のブロック1Aから大幅に性能向上した「ブロック2A」の導入が決定している。「ブロック2Aは、最大射程が1000キロから2000キロ、最大射高が500キロから1000キロと、いずれも倍増しています。政府は21年度からの導入を目指していますので、陸上イージスには当初からブロック2Aが搭載される可能性が高いですね」(前同)
実は、このブロック2Aは日米共同開発である。「ミサイル先端のノーズコーンと呼ばれる部分や、ロケットモーター部分が日本の担当です。ブロック2Aならば、意図的に高高度に打ち上げるロフテッド軌道の弾道ミサイルにも対処できるとされています」(同)