■王貞治ソフトバンク会長が高橋由伸監督に激烈なエール

 そして、巨人の来季Vを阻む5つ目のアキレス腱とは、ほかならぬ(5)指揮官・高橋由伸監督の無策采配だ。前出のベテラン記者は、「まったくセンスが感じられない。何がやりたいのか、さっぱり分からない」と切って捨てる。「阪神の金本(知憲監督)だったら、若手を育てて使っていく、という明確なビジョンと“超変革”というスローガンがあった。確かに、金本の場合はやりすぎかもしれないけど(笑)、やりたいことがはっきりあるんだよね。でも、由伸には何もないじゃない。岡本(和真)にしたって、そう。育てるって決めたら、何を言われても岡本を使い続ける姿勢を見せないとダメ。何事も中途半端なんだよ」(前同)

 14年のドラフト1位だった岡本を、由伸監督は毎年“4番候補”に指名。しかしながら、超高校級だった長打力は二軍でしか発揮されず、大型三塁手として獲得したのに、17年シーズンは左翼転向も試される始末だった。

 そんなブレまくりの由伸監督に業を煮やしたか、昨年の12月2日、巨人軍OB会で珍しい一幕があった。乾杯の音頭を取った王貞治ソフトバンク球団会長が、「高橋監督はこれ以上悪い思いはしない。先輩コーチであっても、言うべきことを言って、自分に従わせるつもりでやってほしい。“現場の責任を取るのはオレだ”と、先輩であっても蹴飛ばすくらいの気迫を持って取り組めば、選手も“今年は違うな”と感じる」と、激烈なエールを送ったのだ。

 王会長をよく知る事情通は、この発言に驚きを隠さない。「あの王さんが、ここまでハッキリ言うとは……。それほど現在の巨人が、危機的な状況にあるということです。王さんには、それが分かっているんですよ」

 前出の須藤氏も、「高橋監督は、強烈な自分の色を出してほしい。何もかも平均点を目指すのも一つの方法だけど“身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ”という言葉を贈りたいね」と語る。

 まったくのダークサイドに堕ちたかと思える巨人だが、“最後の希望”がないこともない。「まだ若く、充実した先発投手陣です。エースの菅野が28歳。田口も22歳で、畠も23歳。これだけ若くて粒がそろっているチームは、12球団を見回しても、そうはない」(専門誌記者)

 わずかな光明を頼りに、18年シーズンに挑む由伸監督。その前途には、鬼が出るか蛇が出るか――。

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