●お彼岸に団子を並べるって本当?
地域によっては、彼岸入りの日と彼岸明けの日に、一対のお団子をお供えする風習がある。上新粉の餅だったりよもぎ餅だったり、「積み団子」といってピラミッドのように盛ったり、平らに盛ったりと、スタイルはさまざま。起源は不明だが、東北や名古屋など、現在もおはぎと並んで「彼岸団子」とネーミングされた商品が並ぶエリアは多い。
●仏様にも食事を出すの?
こちらも地域によるが、お彼岸とお盆の期間中、また四十九日や命日には、つどつどお仏壇に専用の御膳「霊供膳(りょうぐぜん、れいぐぜん)」を供える風習がある。肉、魚、五辛(ネギやニンニクなど香味野菜)を使わない一汁三菜の精進料理だ。本来は、専用のお膳と5つの器のセットを使用したいところだが、ここもやはり大切なのは気持ち。故人が好んだメニューを、自宅にあるきれいな器に盛りつけて供えるだけでも十分だ。お箸を仏壇のほうに向けて供え、傷まないうちに下げよう。
■お彼岸に先祖供養をするのはなぜ?
お彼岸に仏様の供養をすることが、極楽浄土へ行くための修行になると考えられていたから。仏教の教えでは、この時期に「六波羅蜜(ろくはらみつ)」という仏教の教えを実践するべきとされる。これは前述の、「波羅蜜」に含まれるもので、彼岸にたどり着くための6つの修行のこと。というと堅苦しく聞こえるが、慌ただしい生活の中でもゆったりとした気持ちで仏壇やお墓に向き合い、自分を見つめる時間を持とうということだ。
六波羅蜜の種類
(1)布施(ふせ)
他人に財物などを施したり、相手の利益になるように仏の教えを説くことなど、無償の善行全般を意味する。
(2)持戒(じかい)
仏教にもうけられたルール「戒」(いましめ)を守ること。自発的に実践するべきで、守らなくても罰則はない。
(3)忍辱(にんにく)
逆境やつらいことに出会っても、ぐっと耐えることで精神を鍛錬すること。
(4)精進(しょうじん)
常に向上心を持って努力すること。人の生には限りがあるので、1日1日を大切に、うまくいかないときもくじけず、成功してもけしておごらず、前進すること。
(5)禅定(ぜんじょう)
心を落ち着かせ、動揺しないこと。平静な状態で、自己反省すること。
(6)智慧(ちえ)
真理を見抜く力、正しい判断力を身につけること。上記の5つの教えを実践することで、会得できるとされる。