丸藤正道「プロレスの可能性は無限大だと思う」三沢から学んだ人間力の画像
丸藤正道「プロレスの可能性は無限大だと思う」三沢から学んだ人間力の画像

 今年で、デビュー20周年なんです。人生の半分以上がプロレスラーということになる。生まれてからの半分と、レスラーになってからの半分を比べると、やっぱり早く感じますね。

■ジャイアント馬場から3日前に言われたデビュー戦

 自分がデビューした時は、まだジャイアント馬場さんも、ジャンボ鶴田さんもいらっしゃって、付き人をしていた三沢さんもトップでやっていましたからね。元々、プロレスファンだったので、この世界に入ったら、テレビや雑誌で見ていた人たちがリアルにいる。最初はそれだけで嬉しかったですね。そのうち、そういう人たちと戦ったり、タッグを組んだりするのは、不思議な感覚でした。

 デビュー戦は、今でも覚えていますが、3日前に言われたんですよ。馬場さんに“お前、試合できるか?”って。そう言われたら、“できません”とは言えないですよ(笑)。デビュー戦が決まったはいいものの、まだ入門して5か月半でしたから、タイツもなかった。なので、三沢さんのお古を借りて、リングシューズは、僕の時代くらいまでは、練習生でも馬場さんが買ってくれていたんです。確か、愛知県岡崎市の会場だったんですが、6~7分で負けちゃいましたね。急だったので、親も友達も誰も来られなかったんですけど、やっぱり嬉しかったですよ。

■プロレスラーは天職!

 それから、単純計算すると、全日の試合で年間130試合、他団体の試合も入れたりすると、3000試合近くはやっているのかもしれないですね。それだけやると、やっぱりスランプになる時もありましたよ。体力が落ちたとか、技が失敗するとか原因がハッキリするようなものではなく、プロレスをしていて楽しくないなって。そういう空気ってお客さんに伝わっちゃうんですよね。だから、お客さんの反応も悪くなるし、ますます、プロレスが楽しくなくなる。悪循環ですよね。

 だいたい、そういう時にケガするんですよ。それで、ちょっと休んで、体も作り直してリフレッシュするんです。あとは、舞台とか映画とか、ほかの表現に触れるようにする。そうすると、ケガから復帰する頃には、早くプロレスがやりたくてしょうがなくなっているんです。久々にリングに上がると、お客さんも盛り上がってくれますからね。

 スランプはありましたけど、20年やってきて、プロレスを辞めようと思ったことは一度もない。天職だと思っています。誰しもが経験することだとは思うんですが、入門、デビューから何年かは大変な時期があって、それを乗り越えると、全国回って、美味しいお酒を飲んで、美味しい物が食べられる。出会いもあるし、楽しいことのほうが多いんですよね。

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