■三沢光晴は人間力の塊

 プロレスの魅力って“こんなことできないだろう”とか“こんなことしちゃうの”っていう漫画やアニメでしか見たことのないような非現実的なものをリアルに表現しているところが、人を惹きつけるんだと思う。そういう技や体力は、やれば身につくもので、そこは諦めるか諦めないかだけだと思うんです。一歩上のステージに行くには、それこそ、人間力が必要なんだと思います。

 それだけは、練習しても身につけられない。そういう意味で、三沢さんの付き人をやったことは大きな財産でしたね。あの人は、まさに人間力の塊のような人でしたから。プロレスに関して、アドバイスをもらったことはないんですが、三沢さんはとにかく仲間が多い人で、どこへ行っても友達に囲まれている人だった。リングを降りても、人を惹きつける何かを持っていた人だったんです。そういう姿を間近に見ることができたのは、貴重な経験でした。

 僕の根底にあるのは、恐怖心なんですよ。“もし、こうなったらどうしよう”という。そうなる前に、自分ができることをやろう。そう思って、20年やってきたんです。20周年という年は、1年しかないので、自分がプロレスラーであるということをしっかり形に残したいし、より多くの人にプロレスを見てもらえるように、リングはもちろん、リング外でもプロレスに繋がるようなことをやっていきたい。プロレスの可能性は無限大だと思うので。

撮影/弦巻勝

丸藤正道(まるふじ・なおみち)
1979年9月26日、埼玉県生まれ。子どもの頃に、ロード・ウォリアーズに衝撃を受け、プロレスラーを志す。体を鍛えるため、埼玉栄高校ではレスリング部に所属し、インターハイに出場。卒業後、全日本プロレスに入団。98年8月デビュー。00年にプロレスリング・ノアに移籍。06年、史上最年少となる26歳で、GHCヘビー級王座を獲得。以後、様々なタイトルを獲得し、ノアで唯一全タイトルを保持した経験を持つ。

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